東京の空は決して狭くないバカにするなよ僕の故郷を【短歌】
僕は、両親も東京生まれ東京育ち、僕自身も東京生まれ東京育ちの、根っからの東京人です。
だから、
10月の銀杏に色づく校庭の澄んだ東京の空がどれだけ高いことか、
児童館の横の公園の遊具のいちばん上で大の字に仰向けになって見る東京の空がどれだけ深く青いことか、
登ると白い粉が手や服に付く防災庫の上で鬼から逃げていた時の東京の空がどれほど晴れていたことか、
7時ごろに町の銭湯から出た時の夕方の東京の空がどれほど明るかったことか、
周りが有名大学へ進学するのに僕は浪人することがわかった卒業式の打ち上げの帰り道に涙をこぼさないよう見上げた東京の夜空がどれだけ広かったことか、
僕は知っている。
田舎から出てきた人で東京の空は狭いという人がいる。田舎の空はそんなに広いか。田舎に比べて東京の空はそんなに無味乾燥で温度がないか。
そりゃ狭いさ。でかいビルが立ち並んでるんだ。狭まるもんは狭まるよ。
でも東京の空が狭いと思うのは、心の中で狭めてるからだ。
華やかだけど不自由な東京の空?キラキラしていて魅力的だけど偽物みたいな東京の空?
ふざけるなよ。
僕は東京に空が無いと言った智恵子を憎む。東京に空はある。しかもこんなにも広い。
バカにするなよ僕の故郷を、僕の思い出を、僕の空を。