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いぬの短歌集〜君がいるから〜

犬との出会いは4歳。女の子の柴犬でした。
それから幾星霜( ˘꒳˘  ) ジーン

多くの犬たちとの出会いと別れがありました。
ひとよりずっとはやくに年を取り、旅立ってゆく犬。

命の儚さ、人智の小ささ、限りない愛しさを教えてくれました。

noteで犬短歌を多く詠んでいることもあり、せっかくならとここにまとめました。

犬好きな方も、猫好きな方も、動物はあんまり、、という方も、よかったらお楽しみください。



🐶いぬの短歌集〜君がいるから〜🐶


犬の耳の柔らかき夜更けゆくいつもの時間いつもの寝息


少しだけレースカーテン留められて犬の顔見ゆ躑躅咲く家


あたたかな草原めいた犬の背に顔をうずめて優しくなれる


柴犬の換毛期最盛期なり扇風機など恐ろしきもの


ふわふわと抜け毛ふりふり歩く犬暑くないかと扇風機向け


老犬がカートに乗って夕涼みお尻の形にへこんだクッション


健やかな犬の寝息に目を閉じるこれもいつかは思い出の夜


雨降りの前にお散歩ぐんぐんぐんぐんぐんぐん夏至の朝


薄暗き廊下ででんと仰向けに眠る犬あり微風を送る


山門の石段最後飛び越えて犬が墓参の先導をする



精霊馬きゅうりに手脚つくる時確かに君に触れるがごとく


犬の尾はくるりと巻いて幸福を包んでいるか夕空眺め


十六夜の月を観ようと家を出る散歩の犬の足音ととと


開け放つ窓の向こうの秋の蝶犬と頭を重ねて眺め



ずぶ濡れの犬の体を拭きながら小さな肩を抱きしめる夕


犬の背のくっつき虫を摘み取る指にかさりと冬が寄り来る


ごはんぺろり空の食器を前にしてお座りしてる犬が見ている



たましいを抱きしめたなら温かく胸に溶け込み心音となる


この先にいなくなってもまた会えるここにいたのと笑う日が来る


背中ばかり向けて座る柴犬の後頭部にはちっちゃな神さま


汚れても構わないからはしゃいでる犬と転げてはしゃぐんだ冬



北風に額ぴかーんと冷え切って隣の犬のおでこに付ける


ねえねえとタッチする犬肉球がちょっと冷たい平気なのかい


光から先に季節は訪れる霜柱踏む足の小さき



こまいこまい犬の眠れるうららかな日曜の午後香る蝋梅


硝子戸の向こうに座る犬の影首傾げれば影も傾げて


通りすがり撫で撫でをしてくれるはず耳ぺったりで待ってる柴犬



雨の朝桜の色は景に溶け君がいた春まだ共にある


湖の寄せては返す波を追い冷たい水の春を跳ぶ犬


水を飲む犬のリズムの健やかさお米しゃりしゃり研いでる横で


覗き込む犬と一緒に包み開け春帽子ふわり隣の君に


私より小さきものを愛しててジーンズの膝擦り切れてゆく



帰り待つ君がいるから寄り道はしないで走る空があかるい


いつだって胸いっぱいに息をしてふりふり歩く君は天才


雨が降る前にお散歩駆け出せば鼻をくすぐる雨の匂いだ



砂ぼこりいっぱいあげて土を蹴るこらこら虫が慌てているぞ



知ってるかこうして君と同じ道歩いて帰ってとてもしあわせ


悪い子と言ってわしゃわしゃするせいで悪い子しようとはしゃぐ柴犬


ぼこぼこと抜ける犬の毛摘み取るお互い鼻に皺が寄っちゃう


日記書く頬にちょこんと頬寄せる犬の温もり枯れ草の香



さらさらと風の音かと目を遣ればさっきまでいた命のにおい


スーパーの前に柴犬つながれてガラスのドアを見つめる瞳


午後七時ご飯の炊けるやわらかな時を愛して犬は寝転ぶ



手放せぬかなしみもまたあるだろうふと振り向けば犬が尾を振る


生きている体はとてもやわらかいおはようおはよう窓を開けよう



昨日より優しい人になりたくて犬と並んで雲を眺めた


愛は犬しっぽの付け根に宿ってるそれが愛とは知らないままに


私よりいのちの温度高い犬振り返る時いつも笑って


かみなりが震わす空気永遠がないから君に逢えたのですね



夕暮れのチャイムはゆるく遠い日のチロの背骨の手触り今も



おかえりと片耳広げ寝てる君背中回ると尻尾揺れてる


日向ぼこ犬のおでこは黄金色やさしくやさしくやさしくなあれ


枯れ草を踏み分けてゆく犬の背にゆっくり生きてとお日様が照る


犬の足草むらに咲く花を踏むホトケノザって名のある花を


そろそろかそろそろですかもこもこの柴犬くんの換毛期そろ


ジーンズに犬の毛付いて春を知るふわふわの春あたたかな春


巡り来る花の季節に微笑んで私のなかの愛しいものと


あたたかな犬の頭を撫でる手に遠い未来の私が混じる


時はそう前に進んでゆくばかり伝えたい春書き足してゆく


舞う花に溶けるかなしみそれぞれにいつか会おうねそれでも春は


もう少し庭にいたいという犬が私にくれるのほほんの刻


たんぽぽの綿毛が犬にくっついてぽぽんぽぽんと春は伸びゆく


指先をぺろりと犬に舐められてそうかそうかと背を撫でる夜


空っぽの犬の食器を濯ぐ夕まだぬくもりが指に伝わる


あのときは君がいたねと振り返る振り返るとき君に触れてる














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