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感想『神様が殺してくれる』森 博嗣

『僕』ことレナルドの視点から語られる本書。
前置きは「ある事件の記録だ」

国際刑事警察機構(インターポール)で働くレナルドは、学生時代ルームメイトになったリオンについて語る。
彼の凄まじい美しさ、謎めいた家族関係、誰とも親しくならない性格。

半年後、寮を出たレナルドは就職し、幼なじみと婚約する。
仕事もプライベートも順調なレナルドのもとに警察から連絡が入る。
殺人現場にリオンがいたと言うのだ。
リオンはこう証言した。
「やったのは神様だ。神様の名前はレナルド・アンペール」
もちろん、レナルドに心当たりはない。
たった半年だけのルームメイト。当時卒業論文で多忙だったレナルドは、リオンと親しく話した記憶すらなかった。
しかし、刑事の話を聞き、興味を持ったレナルドはリオンに会いに行く。

その後、イタリア、ドイツで似た手口の殺人事件が起こる。
イタリアでは、またリオンが現場に居合わせた。
そして、ドイツではリオンの知り合いのカメラマンが殺害された。
不思議なことに、リオンは、ドイツでは女性モデルとして活躍していたのだ。

国をまたいで起こる殺人事件。犯人はリオンなのか?
レナルドは独自に捜査を開始する。

フランス、イタリア、ドイツ、台湾、日本・・・
目まぐるしく動き、謎が謎を呼ぶスリリングな展開。
それでも、どこか優しく、美しい世界の話に思えるのは、森先生独特の文体でしょう。
決して感情的にならない丁寧な言葉遣い。

未だ体験したことのない驚きを味わい、それゆえ美しい最後でした。

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