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コロナ禍の「医療」と「経済」の両立を考える

この記事をお読みになる前に

・この記事はあくまで個人の考えや意見を綴ったものであり、私の関わる会社、事業、ブランド、プロジェクトとは関係ありません
・2020年8月2日時点の状況や情報を基にしたものであり、今後の新しい状況や新情報によって内容が変わる可能性があります

2020年8月2日現在、日本全国で新型コロナウイルスの感染拡大が広がっていて、「医療」と「経済」をどうバランスを取るべきか『強い方針』が打ち出されないため、国、都道府県/自治体、医療現場、企業、国民で考えがバラバラになってしまっていると感じます。いまの感染状況は2週間前の活動をあらわしているものなので、このあと2週間は、新規感染の拡大が予測されているところです。

このままのペースで感染が広がるとどうなってしまうのか。

感染拡大の予測として、1人から他人へどれくらいの人数の感染をさせてしまうかの感染率=「実効再生産数」をもとにする方法が、もっとも有効と思いますので、データやグラフを見ていきましょう。

■ 全国

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■ 東京都

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引用:https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/

2020年7月31日時点で、全国:1.37、東京:1.11となっていて、この数値は1週間あたりの感染拡大を示しています。

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上記グラフは仮にこの数値が続いた場合の予測です。8月末で、1日あたりの青線=全国の新規感染者数は5,000人を超え、現在の3倍近くの新規感染者が出てしまうことになります。

実際には、毎日の新規感染者数が増えていくことで、国民が感染を恐れて自粛ムードになっていくとすると、「全国の実効再生産数:1.37」が下がっていくことで、ここまで大きな感染拡大にはならない可能性もあります。

このグラフでもうひとつ注目すべきは、赤線・東京の新規感染者の伸びが、全国に比べると比較的落ち着いていることです。これは、実効再生産数が「1.11」にとどまっていることで、新たなに感染者が爆発的に伸びる予測にはならないということです。

ちなみに、7月4日時点では東京でも「1.62」で、いまの全国よりも高い数値だったことを考えると、国民(都民)の行動によって感染率は大きく変化することも分かります。

東京は連日のように新規感染者が増えていることがメディアで流れ続けているため、国や都が積極的になにかの制限を加えなくとも、自粛ムードが流れて、全体としてステイホームの傾向になってきていると言えるのでしょう。かなり楽観的に考えると、今後、東京以外の都市や地方でも、感染者が増えていることがメディアで繰り返し流されることで、同じように自粛モードから「実効再生産」が減っていくシナリオは有力かもしれません。

もうひとつ考えておかなければならないのは、新型コロナウイルスが季節によって、感染拡大に影響する可能性があることです。過去のパンデミックのスペイン風邪も、毎年のインフルエンザも、空気が乾燥する「冬」に本番を迎えることはよく知られていることです。

ニューヨークではインフルエンザのR0は夏に約40%低下する
※R0:「実効再生産」

上記のように、インフルエンザの例でいえば、地域によりますが、夏は冬と比べて約40%ほど実効再生産数が減ることが分かっています。もし、新型コロナウイルスにインフルエンザと同じような季節の影響があるとして、いまが冬だとしたら、さきほどのグラフで示した新規感染者の数は全然変わってきてしまいます。

上記のように、インフルエンザの例でいえば、地域によりますが、夏は冬と比べて約40%ほど実効再生産数が減ることが分かっています。もし、新型コロナウイルスにインフルエンザと同じような季節の影響があるとして、いまが冬だとしたら、さきほどのグラフで示した新規感染者の数は全然変わってきてしまいます。

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国民の活動がいまと変わらないまま1ヶ月が過ぎるとと、全国で1日4万人を超える新規感染者数を出すことになります。ただ、こちらもこうなる前に国や地方自治体などからの自粛要請や医療現場の声やメディアでの報道などで、活動は大きく自粛されていく可能性が高いものの、油断をすると世界各国で起こった感染爆発を起こしかねないということが分かります。

新規感染者数が増えすぎないことで、「医療崩壊」が防げたとしても、いまのような自粛ムードのまま年末、来年も続くとなると、「経済」への打撃は計り知れないものとなります。すでに、大手企業でも、リーマンショックを超えるような「赤字」が止まらない状態で、新型コロナウイルスによる健康的なダメージが少なくても、経済的ダメージによって、失業者が増え、関連して自殺者も増えてしまう暗い未来も予測されるのです。

2020年8月のいま「緊急事態宣言」が出ていない現在でも、東京では自粛ムードになって、ほとんどの消費活動が30-40%も落ち込んでいて、この状態が年末、来年も続くとしたら、ほとんどの中小企業はもちろん、大企業も倒産の危機に陥ります。さらに、上で示したインフルエンザと同じくらいの季節の影響があるとしたら、さらに消費活動が冷え込むことが予想され、「経済崩壊」が現実のものとなってしまうでしょう。

「医療」と「経済」のはざまで、私たちはどんな選択をすべきなのでしょうか。年内に「衆議院選挙」もささやかれる中、ひとりの国民として、このあとの日本をどうしていくべきか、どうなったらいいのかは、これまで以上に真剣に考えるべきタイミングが来ているように思います。

いまなにが起こっているか

まずは日本における新型コロナウイルスの影響を、私なりに「医療」と「経済」について、いまなにが起こっているのかをまとめてみました。

■ 医療面
・夏でもこれまでの生活や仕事のスタイルのままだと感染が拡大してしまうことが分かってきた
・第一波と比べて高齢者への感染はまだ少ないものの、次第に増えており、これから家庭内感染や介護施設などから広がるリスクが高まっている
・このまま高齢者に感染が広がってしまうと重症者や死亡者も増えてしまう
・医療崩壊が起こると、新型コロナウイルス”以外”の病気でも、助からない人を増やしてしまうため、新たな感染者は増やさないほうが望ましい
■ 経済面
・観光、飲食、自動車、アパレル、交通、劇場・演劇、ジム・カラオケ、広告などあらゆるジャンルに大打撃で去年から売上が半分以下になった業種も多い
・先行きが不安なので企業は投資をおさえ、景気がさらに悪化する見込み
・消費者も先行きが不安で自粛し、さらに消費が落ち込んで倒産する会社も出てきている
・倒産が増えると失業者が増え、失業者が増えると自殺者数が増える

「医療」を優先しても、「経済」を優先しても、たくさんの人命が失われる可能性が高いのです。


「医療」と「経済」を両立する方法

「医療」と「経済」、どちらをとっても人命に関わる重大な決断となることは明らかですが、そんな中でも、「医療」と「経済」の両立は可能なのでしょうか。

結論から書くと、「私はある」と考えています。

それは米国政府が行っているような「財政出動」によって、コロナ禍が続く間は「国民と企業に経済的な支援をたっぷり行う」ということです。

経済的なダメージを減らした上であれば、自粛やステイホームも行いやすく、「医療崩壊」をさせないことで「経済」と「医療」の両立を目指せるはずです。ただし、それは新型コロナウイルス以前の世界に戻るということではなく、『ニューノーマル』と呼ばれているように、これまでとは別世界の行動へと変わっていくことを受け入れることも同時に行う必要があります。

「財政出動」とはざっくり言えば、コロナ禍が続く限り、「国が国債を発行して、”お金=日本円”を国民や企業にバラまく」ということです。国民の声が届いて実現した給付金10万円のように、現金を直接支給したり、企業が運転資金に困らないように融資したり補助金を給付し続けるのです。

「いやいや、そんなことをしたら国の借金がまた増えて、将来、国民の税金が増えるだけでしょう」
「国の借金がこれ以上増えたら、ギリシアのように財政破綻するから絶対にダメ」
「日本は国民1人あたり1,000万円近くの借金があるから、これ以上は国債を発行できない」
などと思われた方がいるかもしれません。

でも、これらはすべて誤っている可能性が高いです。

この20年間、「世界各国は国債を発行(=借金を増やして)経済発展」しています。赤線が日本で政府支出が他の先進国と比べてとても少ないことが分かると思います。

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(主要先進国の自国通貨建て政府支出の推移(2001年=1)/出典:IMF、mtdata.jp)

また、今回のコロナ禍では、米国が300兆円分の国債発行をして、国民や企業にお金をバラまいているのです。米国にならえば、日本も100兆円規模の大きな「財政出動」を行うことができます。

米国は米ドルを「国債」を発行することで、『お金』を自由に生み出すことができました。しかもそれは紙幣を印刷するまでもなく、(すごくかんたんにいうと)「銀行の通帳に数値を書くだけ」のわずかな手間でできるのです。日本も日本円で通貨や国債を発行していますので状況は同じです。

「じゃあ、『お金』は無限に発行できるってこと?」
実はそのとおりなんです(厳密には、ハイパーインフレにならない限りという条件が入りますが、インフレ率が高すぎたら「増税」で締め付けを行うのです)。

ちなみに、日本の国債は約1,000兆円ですが、下の円グラフのように、実はこのうちの47%は国の”子会社”である日本銀行が国債を持っているので、この国債は「返済が必要ないもの」です。

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(2020年3月末時点(速報値)日本国債所有者別内訳 ※総額は1,033兆円/出典:日本銀行、mtdata.jp)

「日本円の国債は返さなくていい借金ということ?」と思った方がいたら、それは正解なのです。

そう考えると、「国の借金が増えるとあとで増税されるのでしょう」という話にも答えが出ます。返さなくても良い借金なのだから、増税もする必要はない、ということです。

償還期限が来たらまた日本円を発行して、借り換えをすればいいだけです。


さいごに

ここまで読んできて、なにか話がうますぎてモヤモヤする人も多いと思います。

私も最初、「そんなバカなことある?借金も返さなくていいし、増税もいらないなんて。なにか危ないことになるはずだ」と思いました。

ただ、国債発行が「国の借金が増える」と考えると、なんだか悪いもののように見えるだけで、実際には国債発行は「国民の資産が増える」と考えると、しっくり来ます。最近でもその事例がありました。10万円の給付金がまさにこのことを具体的に示しているのです。

事実として、国が国債を発行することで、私たち国民の銀行口座に10万円が支給されました。この国債は日本円建てなので、償還期限が来たらまた日本円を発行して借り換えをすればいいだけです。国民に1人10万円が配られて、生活費や消費に『お金』を回すこととなり、経済を下支えできるのです。

私はつい最近まで、国は「国民の税金を集めて、その税金の中から予算が決まっていく」という風に考えていました。ただ、少子高齢化などで「税収」が伸び悩んでいて、「しかたなく国債を発行して穴埋めをしてきた」という理解だったのです。

ところが、世界各国を見渡してみると、この考え方は、古くなっていました。

現代は、「国の予算は国債を発行して、その一部を税収で補う」という風に考えるということです。経済発展は毎年の「国の予算」によって決まっています。経済の発展のためには、例えば日本の場合、2-4%程度のインフレ状態が最適で、そのインフレ率に収まるように「国の予算」を最初に決めるのです。

少しむずかしい言葉になりますが、日本では、「プライマリーバランスの健全化」=国家運営は企業や国民から集めた「税収」の中で行うべき、という考え方が根付いています。

ただ、このコロナショックによって、「そんなことをしていたら企業や国民が助からない」というレベルの緊急事態となったことで、「国の借金が増えようとも企業や国民を救うために国債を発行する」と与党の政治家も提案するようになってきています。

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(出典:内閣府、財務省/mtdata.jp)

上記グラフのように、2020年はコロナショックを補うために、第一次補正予算と第二次補正予算で、ここ20年では見たことのないような予算がつくようになっています。この予算は「国債発行」によって、『お金』を生み出した結果なのです。

「(適切なインフレ率の中で)国は国債を発行すれば『お金』をいくらでも作れる」ことがもっと国民に知れ渡れば、”正しい声”として政治に反映されていき、これまではできなかったような「国が『お金』を使う(財政出動)」で「国民に現金を直接給付」したり、「企業の継続のための融資」をもっと行えるようになります。

これが「医療」と「経済」を両立させる、たったひとつの道だと考えます。

こうした理解をできるだけ多くの人々に伝わることを願っています。よろしければTwitterなどSNSで拡散をお願いいたします。


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