映画レビュー(122)「ドロンジョ」

タツノコプロ創立60周年記念WOWOWドラマ。プライムビデオで視聴。

2022年のドラマである。貧しさと暴力の中で育った泥川七音(なお、ドレミ)が、ボクシングを通して自己実現を遂げようとした未来をつぶされるところから物語は始まる。
一方、豊かな財閥の家庭で育った聖川愛花(ひじりかわ あいか)はチャンピオンになり、その知名度を活かして夢であった犯罪のない正しい社会のためにヤッターマン活動をする。この二人の対比が後々効いてくる。
ドロンジョ様の前日譚に、あまり重くてドロドロした話はどうかなと思いながら観ていたが、後半、「そういうことか」と合点がいった。
ここでは「悪に堕ちる悲劇」ではなく、「正義を確信した人たちの無意識の残酷さ」を描いている。
観客は、いつしか七音の方に寄り添っていることに気づくのだ。ラストのバトルも正にそれ。ぜひご確認ください。
この物語を絵空事と笑えないのが皮肉である。プライムの評価は真っ二つに分かれている。方や映画「ジョーカー」に通じると激賞する声あれば、全否定の声も。
否定してる人たち、おそらく日常から「正義」のために声高にモノ申している人たちであろうと思われる。映画の中で描かれている嫌な連中を見て、「これ、俺たちのこと?」と気づかされちゃったのだろう。
そりゃ、全否定するしかないもんね(苦笑)

ドロンジョ

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