映画レビュー(195)「八犬伝」
山田風太郎の原作を映画化した作品。
実に見ごたえがあった。滝沢馬琴の「南総里見八犬伝」の物語と、それを葛飾北斎に語る馬琴の折々の実人生が交互に語られる。
こうあってほしいという勧善懲悪の理想を描く馬琴。一方、「東海道四谷怪談」で、理想の「忠臣蔵」と現実の愛憎を描く「四谷怪談」を交互に描く鶴屋南北。「虚」と「実」のせめぎ合いが、作家であることと父親であることの馬琴の迷いを暗喩する。この人間ドラマ部分の見事なことよ。
やがて「八犬伝」の物語を書き終える頃、馬琴には、虚構を通して真