ブックガイド(134)「LEAK 猟奇犯罪捜査班 藤堂比奈子」
今回も連続殺人である。それも突拍子もない。
正月の秋葉原で見つかった不可思議な死体。不自然に重たいその体内には、大量の小銭や紙幣が詰め込まれていた。都内各地で連続して同様の死体が発見されるが、被害者の共通点は見つからない。藤堂比奈子ら八王子西署「猟奇犯罪捜査班」の面々は、警視庁の合同捜査本部でその「リッチマン殺人事件」に取り組むことになったが……。
被害者の共通項を見つけ出すまでの悪戦苦闘に、本庁での外様扱い。藤堂達は真犯人を上げることができるのか?
今回も比奈子の被害者や関係者に寄せる普通人としての温かさや共感力が捜査の突破口を開いていく。その展開が見事。
高齢者詐欺や金融詐欺など、弱者を狙う犯罪に対する怒り。現代社会の闇と不安を描きつつ、それでも決して人間に絶望しないヒロインに共感する。