ブックガイド(161)「MASK 東京駅おもてうら交番・堀北恵平 」
「比奈子」シリーズに続く、警察ニューヒロイン堀北恵平(けっぺい)のシリーズ第一作目!
東京駅のコインロッカーで、箱詰めになった少年の遺体が発見される。遺体は全裸で、不気味な面を着けていた――東京駅おもて交番で研修中の堀北恵平は、女性っぽくない名前を気にする新人警察官。先輩刑事に協力して事件を捜査することになった彼女は、古びた交番に迷い込み、過去のある猟奇殺人について聞く。その顛末を知った恵平は、犯人のおぞましい目的に気づく! 「猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子」シリーズ著者による新ヒロインの警察小説、開幕! というのが惹句だが、いや面白い。
ここで、作中にいかにもレトロな東京駅うら交番が出て来て、どうやらそれが過去の交番らしい。長い歳月をへた東京駅だからこその不思議現象だが、そこの老警官が主人公の悩みや捜査のヒントをくれたりする趣向がおもしろい。
実は、このジャック・フィニイっぽい「過去と現在が交錯する古い建物の話」は、自分も「奥安アパートメントの四季」という作品でやっている。だから、この内藤了さんのセンスには感心するしかないのだ。
(追記)
作中で言及した拙著はこちら。
https://sutekibungei.com/novels/5addfe03-ed07-43c3-b272-d85707afc110