ブックガイド(104)「縄文神社 関東甲信越篇」(武藤郁子)
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縄文神社とは、縄文の遺跡と神社が重なっている場所である。縄文時代から何やら神聖さを感じていた我々日本人のご先祖が神社を設けた場所である。もともと神社は弥生時代がルーツと考えられているので、縄文神社は弥生以前に一万年近く続いた縄文時代の祈りが続いている場所なのである。
2021年に出た「縄文神社 首都圏篇」に続く「関東甲信越篇」である。
歴史散策に最適のガイドブック
この手の本は知識や情報が中心になりがちだが、この書は境内と周辺の地図や図版なども豊富で、実際に現地へ行って散策するための優れたガイドブックになっている。
今回は長野県諏訪地区の諏訪大社などが豊富に掲載され、個人的には嬉しかった。諏訪大社前宮はミシャグジ信仰の聖地であり、私の自作「不死の宴」の聖地でもあるからだ。
自作の聖地「諏訪大社 前宮」
諏訪市に隣接する茅野市に、友人たちと建てた山荘がある。もう三十年を超えていて、その間、年に数回滞在している。正月の初もうでなども諏訪大社の本宮へ参っているぐらい私と家族は諏訪市と諏訪大社のファンなのだ。
2015年ごろ、うつ病からの寛解によって創作意欲が盛り返した私は、長編小説の構想を練り始めた。その時に、諏訪大社の前宮に残るよくわからないミシャグジ信仰を使ってやろうと思い、それが作品の突破口になったのだった。
実際に行きたくなるガイドブック
毎年、友人たちと大人の遠足と銘打って長野県の歴史ポイントを訪問している。この書を読んでまた行きたくなった。欲を言えば、私の居住圏内である、愛知・岐阜の縄文神社のガイドが読みたい。
そう、今度は「東海編」を希望するのだ。
「縄文神社 関東甲信越篇」