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【美容学校の闇】美容学校の「特別講師」② レギュラー講師とは?
はじめに
前回は、美容学校の闇「特別講師」、“ゲスト講師”についてお話ししました。
前回もお話ししましたが、美容学校の「特別講師」は、ざっくり言うと、“現役の美容師”かつ“美容学校に雇用されていない美容学校の講師”です。
それは大きく分けて、下記のいずれかになります。
【美容学校の特別講師】
① ゲスト講師
② レギュラー講師
※名称は「特別講師」の種類を説明するための仮称になります。
今回は、美容学校の闇「特別講師」、“レギュラー講師”についてお話しします。
※あくまでも私個人の見解になります。
美容学校の「特別講師」
・レギュラー講師
・キャリア:
美容学校から「レギュラー講師」を依頼される美容師は、“時間に余裕があり、新卒採用を行なっている美容室の美容師”です。
同じ講師でも、前述した「ゲスト講師」のように“美容師としての実績やネームバリュー”を問われることは殆どありません。
・役割:
レギュラー講師の主な役割は、美容学校の“教員不足の解消”です。
レギュラー講師は、美容学校の教員に代わって、(中期的に)美容学生への授業を代行するのです。
(例)2年生1学期の「カット講習」の授業をすべて代行など
と言うのも(以前の記事でお話しした通り)、“美容学校の教員は低賃金”で離職してしまう人も少なくない上、新たに教員を求人募集しても、応募が少ないのが現状です。
美容学校は「教員の応募条件」を引き下げて、“スタイリスト経験0の元美容師”を中途採用したり、“社会人経験0の美容学生”を教員として新卒採用して、教員不足の解消に努めていますが、それでも教員不足を賄いきれていません。
その現状を何とかしようとして、美容学校は、暇を持て余した売れない“時間に余裕がある美容師”に「レギュラー講師」を依頼し、教員に代わって、美容学生への授業を代行させているのです。
そのため、美容学校のレギュラー講師は、1つの美容学校につき1社の美容室とは限りません。
勿論、美容学校が美容学生や高校生に対して、正直に「教員不足のため、現役美容師に講師を依頼しています」とは言いません。
対外的には「即戦力の人材を育成するために、現役の人気美容師に特別講師を依頼しています」などとアナウンスするのがお決まりです。
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・来校頻度:
レギュラー講師が美容学校に来校する頻度は(美容学校の教員に代わって、美容学生への授業を代行するため)、1年に数十日〜数百日、1日の来校時間は数時間〜十時間程度と、「ゲスト講師」に比べて、非常に高い傾向です。
例えば、2年生1学期(約4ヶ月)の「カット講習100コマ」計5クラス分を代行する場合、その所要時間は 1コマ45分×100コマ×5クラス=375時間
になります。
※あくまでも仮定の計算です。
・講師料(ギャラ):
1コマ(45分)につき、1,000円台〜2,000円台など、美容学校がレギュラー講師に支払う「講師料」の時間単価は、「ゲスト講師」に比べて、非常に安い傾向です。
その理由は、美容師(美容室)が暇を持て余していて売れないから「美容学校からのレギュラー講師の依頼」を“安い講師料で喜んで引き受けるから”です。
そのため、“美容学校が美容師に「レギュラー講師」を依頼し、美容学生への授業を代行させること”には、美容学校にとって“人件費を節約できるというメリット”もあります。
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・POINT:
さて、なぜ美容師(美容室)は、本業のサロンワークでお金を稼ぐことができるにもかかわらず、「美容学校からのレギュラー講師の依頼」を“安い講師料で喜んで引き受ける”のでしょうか?
その理由は、“新卒採用につながる”というメリットがあるからです。
美容学校の講師として、美容学生への授業を代行する内に、美容学生が自分たち(美容室)に懐き、
「講師の◯◯さんと同じ美容室で働きたい」
と言って、“自社に就職を希望してくれる可能性が高い”からです。それだけ、レギュラー講師を務めることで、“美容学生と頻繁に接点が生まれる”ことによる「単純接触効果」は大きいのです。
それに加えて、レギュラー講師が担うのはあくまでも授業だけで、担任教員のように「欠席」を厳しく注意するといった“嫌われ役”を担うことは殆どないので、美容学生から好かれやすいのです。
そのため、インスタグラムで求人情報を発信したり、求人広告会社が主催する合同説明会に出展しても、美容学生から見向きもされないような美容室でも、美容学校のレギュラー講師を務めることで、新卒採用できるようになります。
つまり、「超売り手市場」で採用難の美容業界において、新卒採用につながる美容学校の「レギュラー講師」は、美容学生から人気がない新卒採用に苦戦している美容室にとって非常に美味しい仕事と言えます。
美容学校のレギュラー講師を務めている美容室の中には、美容学校から“レギュラー講師を依頼する美容室”について、一定の裁量を与えられている美容室もあります。
要するに、美容学校は1社の美容室にレギュラー講師を任せるだけでは、授業の代行を賄いきれないので、レギュラー講師の中心となる美容室を決めて、その美容室に「他の美容室への講師依頼や統率を任せる」ということです。
そのため、“美容学校から「レギュラー講師」として重宝されている美容室”の中には、他の美容室に対して
「自社と契約すれば、◯◯◯美容学校に講師として出入りして、新卒採用できるようになる」
といった謳い文句で、他の美容室に対して「採用のコンサル」や「店販商品の販売」などの営業をかけて契約を取り、利益(お金)を得ている美容室さえあります。
最後に
今回の記事は以上になります。
次回は引き続き、美容学校の闇「特別講師」、“美容学生の可能性”についてお話しします。
このnoteでは、私が約10年間「美容学校の就職担当教員」として働いていた時の体験談に基づいて、美容業界の新卒採用の裏側や、美容学校の裏事情など、美容業界の闇を曝け出していきます。
コメントや質問などもお気軽にいただけると嬉しいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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