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映画『ノープ(原題:NOPE)』

もはや伝説の女優であるジョディ・フォスターが、このところ毎日のようにそのInstagramを更新して

「もう観た?まだ観てないの?すぐに観に行かなきゃ!」

という具合に、あまりにも急かすように繰り返すので、当初、ありきたりなホラーだろうというくらいに思って、観に行くリストから外していた映画『ノープ(原題:NOPE)』。

あのジョディ・フォスターがここまで推すのだから、流石に無視はできないな、と考え直して新宿歌舞伎町のTOHOシネマズで鑑賞。

実際に観てみると、ホラーというよりSFといった方が適切な映像作品で、スクリーンを観ながらすぐに想起したのが、まだ私が小学生だった頃、子どもだけで初めて劇場に観に行った映画『未知との遭遇(原題:Close Encounters of the Third Kind)だ。

当時、まだ新宿コマ劇場があった歌舞伎町という街は、その一画にある広場をぐるりと囲む形で映画館が立ち並ぶ、映画の街でもあった。劇場初心者の小学生だった私は、ホラーとSFばかりを好んで観ていた。

ゾンビ映画というジャンルを創ったと言われるロメロ監督の名作ホラー映画『ゾンビ(原題:Dawn of the Dead、国際題: Zombie)』も、その後のエイリアンシリーズの先駆けであるリドリー・スコット監督のSFホラー映画『エイリアン(原題: Alien)』も、この街で公開当時に鑑賞した。

しかも『エイリアン』は、私が初めて女の子を誘って観に行った映画でもある。

そんな思い出の街で、またもや、もしかしたら歴史に残るかも知れない映像体験をした訳だ。

映画自体は、ストーリーも映像もとてもシンプルで、『未知との遭遇』の方がもう少し複雑な作りではあるのだが、なんとなく引き込まれていく少し不思議な感覚が、初めて自分だけで劇場で映画を観たあの時の感覚と、とても似ているのだ。

面白かったのは、今回の観客の中に、いかにもアメリカ人らしく明るく騒がしいグループが、結構な比率で存在していたこと。これほど外国人の多い客席も珍しく、やはり本国で話題なのだな、ということを実感した。

何を書いてもネタバレにしかならないほど、素朴でシンプルな作品なので、書けることはここまで。少なくとも「最悪の奇跡」というキャッチコピーから想像されるような映画でないことだけは、確かだ。

ジョディ・フォスターの「まだ観てないの?」という言葉にピンときた人。観に行く価値は、あると思います。


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