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『オープン・シーズン』、そして『博士の異常な愛情』:アメリカ帝国主義を支える映像表現②(『硫黄島からの手紙』:世界で最も戦争を知らないアメリカの人々③)
スピルバーグの『バック・トゥ・ザ・フューチャー』におけるアメリカ帝国主義的な表現と全く同じ役割を果たすような映像表現は、愛くるしい動物たちを主人公にした子ども向けのアニメーションにすら散見される。2006年に公開された『オープン・シーズン(原題:Open Season)』という長編アニメーション映画の場合、人に育てられた熊が森に帰るまでのプロセスを描く物語なのだが、問題はその最大の見せ場にあたる部分である。 そこでは、野生動物の敵という立場で人間のハンターたちが登場し、
『バック・トゥー・ザ・フューチャー』と『シンドラーのリスト』:アメリカ帝国主義を体現する映像表現(『硫黄島からの手紙』:世界で最も戦争を知らないアメリカの人々②)
アメリカの人々が、いかに戦争について無知であり、それゆえ戦争に関わる映像表現に対して、その表現が観る者に与える痛みに対して、いかに無神経であるかということは、いわゆる戦争映画ではない映画にこそ、よく現れていると、私は考えている。 スティーブン・スピルバーグは、制作者として関わった青春娯楽SF『バック・トゥー・ザ・フューチャー(原題:Back to the Future)』のラストシーンで、主人公の相棒であり、タイムマシンの発明者である博士を、民族衣装を着たアラブ人に殺さ
映画『見えるもの、その先に-ヒルマ・アフ・クリントの世界-(原題:Beyond the Visible - Hilma af Klint)』
初出:2022年4月27日(Facebook) 「一つのスケッチを完成させるたびに、人間、動物、植物、鉱物、創造物すべてに対する私の認識が、より明確になっていく。私は限られた意識から解放され、その上にいるかのような気持ちになる。」 これは、映画『見えるもの、その先に-ヒルマ・アフ・クリントの世界-(原題:Beyond the Visible - Hilma af Klint)』における、スウェーデンの女性画家、ヒルマ・アフ・クリントの言葉。1911年にカンディンスキーた