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向山こども園の職員室の変化

それぞれの園では、職員室や事務室といわれる大人のための部屋があります。
この空間は、あまり重視されず、管理職や事務職員のための部屋という場合もありますが、向山では保育室と同じくらい重視しています。職員室の環境がチームワークや業務の効率に大きな影響を与えると考えているからです。
今回は、向山こども園の職員室がどのように変化してきたかについてお伝えします。

かつての職員室:自由な座席配置の時代

昔、向山こども園が幼稚園として運営されていた時代には、職員室には固定の席がなく、職員が大きな円卓を囲んで自由に座っていました。この時期には、会議も各クラスや部屋ごとに行われており、職員同士のコミュニケーションが職員室で積極的に行われることは少なかったようです。
300人以上の子どもたちを10数人で見ていた時代には、それぞれの保育者のスキルが非常に高く、チームワークというより個人の技術が求められていたと思います。また、持ち帰り仕事も当たり前だったため、それぞれが事務仕事をするための広いスペースが必要なかったという側面もあると思うので、この時代には、理にかなった座席配置だったと思います。
しかし、各クラスをそれぞれの担任が一人で運営することが求められていた時代とは言え、チーム内の問題が外から見えにくくなり、行き詰まった時に誰もフォローできないという課題がありました。

改革の始まり:島ごとの席配置

この問題に対応するため、職員室の改革が行われました。
まず、各チームがまとまって話し合いができるよう、事務机を組み合わせた「島」を作り、一人ひとりに固定席を設ける形式に変更されました。また、会議も職員室内で行われるようにし、どのチームが何を話し合っているのか、他の職員も把握できるような透明性を持たせました。
ただし、この時は震災後にとりあえず多目的ホールに作った職員室だったので、とんでもなく狭く、エアコンもなく、お世辞にも居心地の良い場所ではなかったなと思います。


狭くて暑い職員室

職員室のスペースが拡大された後も、この島形式は続けられ、若手保育者が集中できるように奥の席に、ベテランの保育者が通路側に配置され、電話対応や来客対応がスムーズに行えるよう工夫がされていました。

それぞれの席があり、事務作業のしやすい配置

働き方改革の影響:事務作業の分担

近年、働き方改革が進むにつれ、事務作業は主に事務職員が担当するようになりました。
保育者は、主に音声入力による記録の作成や保護者への写真付きのお手紙、カンファレンスなどの業務に専念できる環境が整備されていきました。これに伴い、事務作業スペースの必要性が薄れ、固定された広いデスクを職員全員に割り当てる意義が少なくなってきました。

多様な働き方を反映した新しい職員室

こうした変化を受け、向山こども園では思い切って固定席を廃止し、職員が自由に使える多様な席を用意しました。
ファミレス風の席、キャンプ風の席、ソファー席、バーカウンター風の高い椅子の席など、気分や業務内容に応じて選べるようにしました。

ローテーブルとソファーの席でカンファレンス中
ファミレス席も囲われていて人気

これにより、リラックスしながら仕事ができたり、チームで話し合いをしたり、集中して作業を行う環境が整いました。

スマートデバイスによる業務効率化

現在では、スマートフォンやタブレット、ノートパソコンなど、小型のデバイスでほとんどの業務をこなせるようになったため、広いデスクを必要としなくなりました。また、集中したい時には窓際の静かなスペースを利用するなど、職員がその時の仕事に応じて場所を選べるようになっています。

今後の展望:職員室のさらなる改善

まだこの新しい職員室の体制が導入されて1年未満ですが、職員が快適に働ける環境であるかどうか、今後も検証を続けていく予定です。
職員室は、単なる事務作業の場ではなく、チームワークを高め、コミュニケーションを深める場としての役割を果たす必要があります。
今後も、保育の質の向上を目指して職員室の環境改善に取り組んでいきたいと考えています。

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