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映画ファンから愛されるアキ・カウリスマキ
『枯れ葉(2023年)』公開記念で「愛すべきアキ・カウリスマキ」という特集が組まれ過去作品が映画館で上映されるなど、
アキ・カウリスマキについて調べると映画ファンがいかにこの監督に魅了されているかわかる。
唯一無二のスタイルを持つアキ・カウリスマキについてまとめてみた。
プロフィール
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フィンランドのオリマッティラ出身の映画監督。
作家志望でタンペレ大学を卒業後、兄のミカ・カウリスマキの自主映画製作を手伝う。1983年に初の長編映画『罪と罰』を発表。
ほとんどの作品で脚本や編集も担当している。
『希望のかなた(2017年)』を最後に引退宣言をし多くの映画ファンを驚かせたが、
『枯れ葉(2023年)』で何事もなかったかのようにあっさりと復活した。
影響を受けた監督として、チャールズ・チャップリン、ジャック・タチ、フランク・キャプラ、そして小津安二郎などを挙げている。
映画監督ジム・ジャームッシュとも親交があり、『レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ』には彼が中古車のディーラー役で登場する。
作品の特徴
労働者3部作(『パラダイスの夕暮れ』『真夜中の虹』『マッチ工場の少女』)敗者3部作(『浮き雲』『過去のない男』『街のあかり』)と呼ばれるくらい、主人公は賃金の低い仕事に就いていて、それすらクビになったりととにかく悲惨。
しかしそんな状況で中年男女が出会って恋に落ち、最後には希望と温かな感動が訪れる。
男女といっても若い美男美女では決してない。
だけどもレストランで目が合い微笑みあっただけで恋に落ち、花を買ったり肩にもたれかかったりと、とてもロマンチックなのだ。
いい大人が照れ隠しにカッコつけたり、すれ違ったりするのが人間らしくて愛おしい。
余白を削ったような映画作りで、作品の長さが100分にも満たないことがほとんど。そして登場人物の説明やセリフも少ないし、表情の変化はさらに少なくてほとんど無表情。人が死んだり車が壊れたり窓ガラスが派手に割れても、表情は変わらずとにかく淡々としているのでこちらが笑ってしまう。
画作りも静的に切り取られていて絵画のようにカッコよく、インテリアも綿密に設計されていておしゃれ。
さすがは北欧だと感心する反面、景気は悪そうだし食事も不味そうだしおまけに寒そう。世界で一番幸せな国でIT先進国のフィンランドはアキ・カウリスマキの作品には全く出てこない。
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アキ・カウリスマキの作品の特徴の一つが、酒とタバコとコーヒー。
どう考えてもタバコは吸い過ぎである。ホテルやレストランの受付、バンドマン、面接だって関係ない。ほぼ毎シーン吸ってる。
コーヒーも飲み過ぎ。『愛しのタチアナ』には車用のコーヒーメーカーを買ってまでコーヒーを飲むコーヒー中毒の男が登場するくらいである。
酒も飲み過ぎで、レストランで瓶とグラスが出されたにも関わらず、グラスでタバコを消して直瓶で一気飲み。
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音楽も毎作品5〜6曲流れる。レコードやカセット、レストランでのバンド演奏など色んなタイミングでかかるんだけど、どの曲もかっこいいんだよな〜。クレイジーケンバンドのメンバーがアキカウリスマキの大ファンで、バンドのCDを送ったところカウリスマキに気に入られ、過去のない男に使用されている。
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主な監督作品
罪と罰(1983年)
カラマリ・ユニオン(1985年)
パラダイスの夕暮れ(1986年)
東京国際映画祭やカンヌ国際映画祭に出品
ハムレット・ゴーズ・ビジネス(1987年)
真夜中の虹(1988年)
汚れた手(1989年)
レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ(1989年)
世界中でヒットし、日本でも名が知られた
マッチ工場の少女(1990年)
コントラクト・キラー(1990年)
ラヴィ・ド・ボエーム(1992年)
レニングラード・カウボーイズ、モーゼに会う(1994年)
愛しのタチアナ(1994年)
浮き雲(1996年)
白い花びら(1999年)
過去のない男(2002年)
第55回カンヌ国際映画祭 グランプリ
第75回アカデミー賞 外国語映画賞(フィンランド代表として史上初)
街のあかり(2006年)
ル・アーヴルの靴みがき(2011年)
希望のかなた(2017年)
第67回ベルリン国際映画祭 銀熊賞
枯れ葉(2023年)
第76回カンヌ国際映画祭 審査員賞
常連の俳優たち
・マッティ・ペロンパー
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いつも髭とオールバック。つぶらな瞳で上目遣いされると、甘えてくる大型犬のようで茶目っ気があり妙に色気もある。デートの誘いに成功し思わずスキップするもスキップが下手くそな不器用さもよく似合う。
・カティ・オウティネン
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アキカウリスマキの多くの作品でヒロインをしているが、美人とは言えない。いつも口を尖らせムスっとしていて、世の中の全てに腹を立てているように見える。
最後に
今回は、引退宣言(結果的にはなんでもなかった)に多くの映画ファンがショックを受けるほど、世界中から愛されているアキ・カウリスマキについてまとめてみた。
ローテンションなのにユーモアが溢れていて心温まる、クセになる映画監督。今回『枯れ葉』で無事に復活したので今後の動向にも要注目。
U-nextではほとんどの過去作品が公開されているので、ぜひ一度見てみて欲しい。