いつもの諦めが、いつもの様に。そんな時にウワッと泣ける人でいれたら。
殆ど内容を覚えていない&私の頭じゃ理解不能だったトマス・ピンチョン『逆光』の事を考えている。エピグラフはセロニアス・モンク「世界はいつだって夜だ。じゃなきゃ光なんて要らないさ」読み返す時間は無いが原題『Against the Day』を『逆光』と訳す本書のそんなエピグラフを小屋入りの夜に思い出した。
排気口/中村ボリ企画公演『人足寄場』は今日初日である。当日券も出る。毎日出る。もし出せなくても出す。そんな気概で心を昂らせるぐらいしか本番中の作・演は立つ瀬がない。そんなものである。この作品を観て頂いた皆様一人一人の感想を丁寧に聞いてみたい。そんな欲望をツマにこれから千秋楽まで酒を呑むのだろう。初日からドンドン感想を書いて頂けると私の飲酒ペースもグッと上がるという具合になっている。まだ予約してない方も、早すぎる事も遅すぎる事も無く焦らず自分のペースで予約の程宜しくお願いします。
すでに次の作品の台本作業の準備をしている。台本作業というのは如何にも時間がかかる。それを少しでも短縮したいのなら、前倒しでドンドン準備するのに限る。今回の公演で初出し次回公演の速報が折り込まれるので是非ともチェックして欲しい。
寝る前にT・S・エリオットの詩を読んだ。飲酒後の深い酩酊の中で、真っ暗な部屋の中で。私は本を開こうとする気持ちすらなく、チェンソーマンの最新話をスマホで読んで、天気予報を確認して、それから、フト思い出して、検索窓に「T・S・エリオット」と入力した。物音ひとつしない真夜中。それから沈黙に耐えられず私は小さな音でWolf Alice『Blue Lullaby』を聴いた。そうして朝になって、春の陽気がまた訪れた。まるで誰にもそれを気付かれない様に。まるで最初から穏やかな永遠であったかの様に。
T・S・エリオット『空ろな人間』の最後の1節を引いて初日を迎えよう。
こんなふうに、世界は終わる
こんなふうに、世界は終わる
世界の終りは、
爆発音ではなく、すすり泣く声で。
今日から何度だって劇場で会おう。何度だってワクワクしてドキドキしよう。