短歌「千年は・・・」
業平は母の世話せしことありやあらば千代もと詠みしものかは
高校生の時だっただろうか。伊勢物語八十四段「さらぬ別れ」を読んだのは。当時、古文は嫌いだったが、この段の「老いぬればさらぬ別れのありといへばいよいよ見まくほしき君かな」と「世の中にさらぬ別れのなくもがな千代もと祈る人の子のため」の二首の歌はすっと心に入ってきたと記憶している。私が中学校から親元を離れて下宿していたことも一因かも知れない。古文の時代の京都と長岡は、自動車や電車のある現代では想像できないくらいの距離感であったと思う。
とは言え、九十二歳の母の介護をするいまは、長生きはしてほしいけれど、これから先二十年はつらい……というのが本音だ。介護され続けられながら生きる母もつらいと思う。
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