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短歌「情は述べる」

うれしきと書きかなしきと書くことに躊躇ひもなし母生ける間は

 俳句では直接感情を表現することばを使うなとか、短歌では本当に言いたいことはことばにするなとか、俳句や短歌では心情語を抑制せよと説かれることが多い。“上達”のための心得として、それに類する教えをあちらこちらで見聞した。
 だが、「俳介護」を勧める立場からは、まずは胸の中にある心情がことばになったのなら、それを文字として書き留めておくことをお勧めする。推敲するにしても、元の句は残しておく。文字を消すのではなく、一字変えたら、一字変えた句や歌をまた新しくノートや手帳に書くようにするのだ。表現としての作品とは別に、こころの軌跡を記すこと。
 それが「俳介護」だと私は考えている。

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