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短歌「介護されるのはすごいこと」

信じらるるこころなからば母のごと介護さるるは難しと思ふ

 すごい人だ。何者かも知れぬ人間に、おむつを替えられたり、清拭されたり、食べ物を口に入れられたり出来るのは。もっとも何者かは分からなくても、なんとなく身内であるとは感じているらしい。それは訪問看護師やヘルパーに対しては敬語を遣うのに、姉や私には敬語を遣わないということからも分かる。だとしても、はっきり息子だと分からない相手に、自分の命運を委ねられるのは、母が人を信じられる心根の持ち主だからだと私は思う。

 母が私の介護を拒否したのはたった一度だけだ。そのときはもしこのまま介護出来なければどうしようかと途方に暮れた。母よ、私の介護を受け入れてくれて、ありがとう。

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