俳句「食うも食わぬも」
母食はぬ鶯餅よいつそ鳴け
食べるというのは本能だと言われる。だが、実際には「食べなければ」という義務感、あるいは「食べるものだ」という先入観のようなものによって、食べていることも多いのではないか。時計によって生活している人は、本当にお腹が空いているときに食べることは意外に少ないように思う。
その点、時間の呪縛から解放されたいまの母は、食べるも食べないも自由だ。もっとも自分で食事の用意をすることはないので、無理矢理私に食べさせられていることはあるだろうけれど……。用意した食事をスルーされることにはもう慣れたが、喜んでもらおうと思って和菓子屋で鶯餅なんぞ買ってきたときに見向きもされないのは少々つらい。
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