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短歌「電源スイッチ」
母ひとり喋り続けて止まぬとき母の電源スイッチもがな
母が眠らない。大きな声で一人で喋り続けている。その内容は、亡くなった父や妹などを呼び続けるパターン、隣にいる私に質問してくるパターン、誰か分からない人に話しかけるパターン、一人言のようなことを喋り続けるパターンなど、さまざまだ。
いずれにせよ隣で寝ている私にとってはたまったものではない。母が立てなくなってからは、別の部屋に避難して一人で眠ることもあった。もっとも近頃は、適度に受け答えしたり、聞こえないふりをしたりしているうちに眠れるようになった。母のお陰でまたひとつ出来ることが増えたわけだ。
だが、眠れないでいた頃は、母にも電源のようにOFFのスイッチがあればと思った。