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俳句「もう折り返している」

片蔭や老い看るわれに老いの影

 未婚で子どももおらず、自分の年齢を意識することはほとんどない。いや、いま59歳で年金受給まではまだ6年もあるとか、老後の生活は大丈夫だろうかとか、そんなことは始終考えるのだが、自分が老いたという実感はうすいと言うほうが正確か。

 しかし、本人の自覚がどうあろうが、私はもう「じじい」と呼ばれる年齢で、実際同級生の中には孫のいる人もいる。そして、よくよく考えてみれば、老眼だとか筋肉痛だとか、老いの兆候は確実に出始めているのである。

 人生100年としても、59歳は折り返し地点を過ぎている。いのちの光が強い分、93歳の母よりもむしろ、私の蔭のほうが濃いようにも思われる。

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