五月蝿い語彙の感覚打ち消したくなる。 うるさい奴を爆発させて消したくなる。 水も死んでるドブ川のほとり独り座る。 傷口に塗った塩を鼻で吸い込み空仰ぐ。 人生という名の付いた物を喰い荒らす。 人間という生産主義者が破壊を続ける。 善と悪の概念を作り法で隔てる壁作る。 罪に罰をと叫び裁くお前らは何様だよ。 そいつらは、人間様です! 人間様です! 生物の頂点、地球の中心、人間様です!
その村には山から鬼が来て村人を殺す。 村人は毎日怯え家に籠った。 村の少女は村人に元気を与えようとダンスの練習をする。 ダンスで村人を笑顔にしたいと毎日練習する。 発表会の日、村人を村の中心に集めた。 少女は家で用意をしていたドレスに着替えて 舞台に立つと、そこに見えたのは血まみれの客席。 少女は泣きながら踊った、罪と絶望と踊った。 鬼達の目の前で。
昨日、私は掃除当番でした。 あのコも同じ掃除当番だったんですが、 いつものように私に掃除を押し付けて帰ろうとしました。 私は掃除用具入れからモップを取り出して、 モップの金属の部分であのコの頭を殴りました。 あのコの体はちゃんと焼却炉に捨てに行った後で 鉄棒の匂いがしてた教室の床も雑巾でピカピカになるまで綺麗に拭いたんです。 私は掃除当番でしたから。 なので刑事さん、私は無実です。
灰色の空とコンクリートの割れた壁と道。 目隠ししてても見える景色は虚無に満ち 少し強い風が吹けば全て砕け散りそうだ。 模様の変わり続ける雨の入らぬ廃墟には 笑顔の老婆が筆を持ち椅子に座っていた。 老婆は私を見て"空は何色だい?"と問う。 私は"灰色だった"と答えると頷き笑顔で "それが記憶"と言い筆で私の頬を撫でた。 私は涙が溢れ出るのを堪えきれなかった。 老婆は"色とは今だけのものさ"と呟いた。
赤い木々の集まる 冷たい風と優しい木漏れ日が照らす森。 赤く輝く木々の中で 垂れ下がったボロボロの縄は風で揺れていて "足跡なんだ"と鳥達は歌った。 苦痛から開放されるこの森の 風冷たく暖かい木漏れ日が照らす花は 体液を栄養として群れで咲き、寂しさを感じさせない。 森に訪れる者は下を向き救いを求めて歩き 辿り着いて安心感を覚えると、蝉が音楽を奏で迎える。 "まだ愛を求めていますか? 強い誓いを立てて旅立つのでしょう" と頭上に伸びる枝はそれを感じ、そして微笑んだ。