灰色

灰色の空とコンクリートの割れた壁と道。
目隠ししてても見える景色は虚無に満ち
少し強い風が吹けば全て砕け散りそうだ。

模様の変わり続ける雨の入らぬ廃墟には
笑顔の老婆が筆を持ち椅子に座っていた。

老婆は私を見て"空は何色だい?"と問う。
私は"灰色だった"と答えると頷き笑顔で
"それが記憶"と言い筆で私の頬を撫でた。
私は涙が溢れ出るのを堪えきれなかった。

老婆は"色とは今だけのものさ"と呟いた。

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