Strangeworld Travel Agency Book2:The edge of the ocean 異世界から冒険仲間が登場
L.D.ラピンスキ著、刊行日:2021年4月15日、ページ数:272、ジャンル:児童書/ファンタジー、対象年齢:10歳~
あらすじ
ストレンジワールド・トラベル・エージェンシーのシリーズ第二巻。前回で数時間行方不明になったフリックは、両親から外出を厳しく制限されていた。だが、偶然ジョナサンとスーパーマーケットで再会し、フリックの母親にジョナサンが自分の旅行代理店で職業経験を積んでいるところだと説明して言いくるめ、再びストレンジワールドの会員として活動することになる。そこへ異世界にいるジョナサンの遠縁の親戚アヴェリーが訪ねてきた。お互いに自分の居場所を取られたように感じてライバル心を燃やすフリックとアヴェリーだったが、そこへ崩壊の危機に瀕する異世界から助けを求める魔法の手紙がジョナサンに届いたため、3人一緒にその異世界ザ・ブリークへ飛び込むことになる。
ザ・ブリークはファイブライツよりずっと深刻な状態で面積が収縮し、次々と大型船が跡形もなく消え失せていた。もはや修復は不可能で、住人達は崩壊前にどこか別の世界へ逃げなければならないが、フリック達が持っているのは小さなスーツケースだけ。フリックたち3人は、クジラのように巨大な人魚の女王も含め、ザ・ブリークに暮らす大小さまざまな住人たちが移ることのできる新しい世界と、そこへみんなを一気に移動させるための手段を見つけなければならなくなった。フリックは、自分にだけ備わった特別な力をもう一度使ってみんなを助けられるのか‥‥‥!?
感想
前回フリックたちが救ったファイブライツよりもさらに崩壊が進んだ消滅までもう何日もない、そんな異世界が今回のメイン異世界です。ここではジョナサンの父宛てだった魔法の手紙が異世界から届いたことで、ジョナサンの父親の消息について大変な情報がもたらされます。冒頭でアヴェリーが訪ねてきて、異世界に親戚がいるってどういうこと!?となるわけですが、このことは、フリックだけがなぜ特別な力をもっているのかについての謎にもつながっていきます。そして最終巻の3巻にむけてあっと驚く秘密が明らかになるのです。
2巻の要としてはもう一つ、アヴェリーとフリックの出会いや、数日後にも崩壊しかねない状況でやっと何世代も続いた争いを乗り越えるザ・ブリークの住人たち。年が近いフリックとアヴェリーはお互い自分にないものを見て嫉妬を覚えますが、ギクシャクしながらも認め合ってフリック、アヴェリー、ジョナサンの3人の冒険仲間としてのきずなが築かれるのも注目どころです。
最近ディストピア的なお話とは対極にある、希望を描く物語を表すものとしてホープパンクという新しいジャンル名が誕生したそうですが(作家アレクサンドラ・ローランドが提唱、2019年からコリンズ英英辞典に掲載)、このストレンジワールド・シリーズも、ユーモアと希望を与えてくれるホープパンクじゃないかな、と私は思っています。というわけで訳書だしませんか!(結局それが言いたいw)
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