スター・ダスト
………
ー月の裏側にある、願いを叶える祈りの場所があるんだ
ーきみはもし、そこに降り立ったとしたら、どんなお願いごとをするの?
……
此処は最果て、生まれも終わりもない、よくもわからない地。
たった1人の少女は、その無数の輝きの地で、ほんの一部でしかなかった。
屑、というものをよく理解していて、自ら煌めきの瞳を閉じた。
そうして長い暫くがあって、受け止めた。
形のない心は、月の表面に、零れた。
……
ーもしこの場所で祈り、願いがほんとうに叶うのならば、なんと伝えようか?
ー何を望んでもよいのだろうか?
今まで考えたこともなかった。
いや、考える価値もないような気がしていた。
でも今こそ、ほんとうに問うことができるのだろうか?
月面に、身体ごと押し当てた。
……
ー少女は孤独でした。
ー満月盤を抱えた、いつもひとりぼっちの少女でした。
ーそれは、伝えたことがないのでしょうか?
ーそれは、できないのでしょうか?
…ああそれは、伝えたい存在が「ない」からでしょうか?
……
閉じ込めた輝きが開かれたとき、地は青き黒の世界に変わり果てる。
少女は堕ちる。
深い深い夢の果てに、堕ちる。
……
「あの日足元にあらわれた、行方知らずの星屑の所有者を探しているのですが…」