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夢のあなたへ

一筋の光、月の眼差しが差し込む四角い窓を眺めて、思い出す。
情報過多の机の引き出しの奥深く、ずっと眠っていた、1枚の手紙を取り出した。
真っ白な封筒、複雑な字体、行方知らずな住所、美しい羅列は、あなたの言葉。

世界に泣いてしまっても、君は美しいとおもいます。
そう信じています。想っています。
果てまで、果てまで。底までも。
寄り添うことに傷ついてしまうのなら、そばを離れて
「どうか幸せにね」と願っています。

語り合った朝焼けの時間を思い出す。
冬の朝。珈琲の吐息。積み重なった本の山から、小さな日の出。

大切なものは、ずっと奥にしまってばかりだと忘れてしまう。
ずっと奥にしまってしまうのは、それはそれは大切なんだろう?
守るために埋もれてしまうのだろう?
両腕の中でずっと抱きしめていられるように、ずっと忘れてしまわぬように。
でも今日も生きてゆくんだろう?それが勇気なんだろう?
君は、大切なものはなんだろうか、知っているんだろう?
きっとそうだよ、大丈夫だよ。

どんなタイミングで、どんな気持ちを持ち寄って、あなたの問いかけを聞いて、なんと伝えることができたのだっけ?記憶の砂漠へ放り込まれてしまっていて…。
そうして美しい砂に紛れて、見つけ出すのは難しいな。

「あなたは、また変わるの?」って問いかける。

どうやらもう進むしかないらしい。
「永遠に自分を探す旅をしていく」らしい。
それは人生という中で1番楽しいことだ、って笑ってた。わたしもよく知っていたよ。
伝説の物語なんでしょう?あなた自身も、わたし自身も。
色々が零れ落ちてゆく毎日の中に存在している限りは、
価値観の方角も、人生観の行き先だって、随分変わる。

「君も勇気をもって、ね。」
伝えられた結末は、変わらず煌めいている。


今日もあなたに逢いたくてしかたないです。
明日も目を醒まして、そうして夢の中へ。


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