#025 母暮ALS 浴槽台
前回お風呂で湯船に浸かろうとしたらしゃがめなかったので、福祉用具の営業さんに頼んで浴槽台を届けてもらった。いつも困ることがあるとケアマネさんと福祉用具の営業さんで連絡をとってすぐに対応してくれる。
東京に来てから関わる人がみんないい人ばかりで母は「嫌な人がひとりもいないよね」「いい人だなぁと思っていると親切が想像を超えてくる」と感動している。
確かに本当に周りの人に恵まれている。こうして母を介護する環境が心地よく整っていくことはありがたい。
東京というと「都会の人は冷たい」とステレオタイプに論じることが多いけれど、そんなことないと思っている。父が以前恵比寿の道で倒れたときも通行する人や車からも何人も「大丈夫ですか?」「救急車は呼びましょうか」と声をかけてくれたし、暑い中救急車を待っている間にも女性が「これよかったら」と水分補給にとスポーツドリンクを父に渡してくれた。正直これほど通行人が親切だとは思っておらず私は面食らった記憶がある。
母と車いすで出かけると、たいていエレベターのボタンを押して待っていてくれたり、優先して乗せてくれたりする。階段や段差があれば「手伝いましょうか」と何度も何人にも声をかけられたことがある。母は親切な人が多いよねぇと感心したように言う。
こんな風に普段助けられることが多いので、私も一人で外出しているときは身軽なのでできるだけ困っている人が目に入れば手をかしてあげたいとよけいに思っている。ペイフォワードじゃないけれど、そういう世の中はいいなと思うし、そういう世界で生きていきたい。