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樹木医さんと行く「三見の樹木お宝巡り」①
皆さんは、自分の地域にある樹木について、どのくらい知っていますか?
正直言うと、私もどこかへ行って何か書いてあれば見るくらいで、〝身近な地域〟という意味では、ほとんど知りません。
その気になれば、自分の周りにもたくさんの「お宝」があるのに、興味を持つか持たないかで、通り過ぎてしまうのはもったいないですよね。
10月の中頃、萩市三見(さんみ)のバクチノキに花が咲いているというので見に行ってみたところ、花はすでに終わっていたのですが、木の下で一生懸命お掃除をされていた中村芳生さんという方に出会いました。
そして、こんど樹木医の草野隆司先生と一緒に廻る「三見の樹木お宝巡り」というのがあるから来てみないか、とお誘い頂きました。
バクチノキの下で樹木巡りに誘われるなんて、なんだか運命的!?「いっちょ、行ってみるか!」と参加を申し込んで行ってきましたので、レポートします。
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カラッと晴れた11月の休日の朝。
集合場所の三見公民館の前には続々と参加者が集まり始めました。スズメがツバメの空き家を拝借してチュンチュンと元気に鳴いています。
今回は地元三見の方はもちろん、市街地からも参加があり、総勢16名が集まりました。
三見公民館の村田稔館長の挨拶の後、一行は公民館となりの三田八幡宮へ。
それでは、さっそく見ていきましょう。
樹木医 草野隆司さん
(萩市観光課 花と緑の推進室)
樹木医資格を取得し、平成 10 年に発足した「山口県樹木医会」の事務局長に就任。年間 100 件にも及ぶ緑化相談や、樹木観察会、講演の講師等を実施。 地元有志によって結成された「阿武の松原のみどりを守る会」の設立発起人とな り、副会長兼事務局長として会の活動を牽引。
永年にわたり県土緑化運動に貢献し、その功績が顕著であったとして、令和4年度山口県緑化功労者にも選ばれている。
三田八幡宮
「イチョウ」
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草野先生の第一声「イチョウは針葉樹です」
針葉樹〜〜!? 意外にも銀杏を包むあの臭い肉質の部分は果実ではなく、外種皮という皮にあたり裸子植物に分類されるため、針葉樹なのだそうです。
木には雌雄があって、向かって左側が「雌の木」で、右側が「雄の木」。
雌木は実をつけるために力を使うことから早く紅葉するのだとか。
また枝の特徴として、雌木は枝垂れたりしている一方、雄木は枝がバンザイしているのだそうです。
なるほど、右側の枝はピーン!と伸びていますね。
「ナギノキ」
神事に使う「榊」としても使われるそうです。榊は「栄える木」とも言って縁起がいいですよね。
このナギの葉の葉脈は縦に通っていて、両端を持って引っ張ってもなかなか切れないことから「縁が切れませんように」と、昔はお嫁に行く娘さんのタンスの引き出しに忍ばせておいたのだとか。素敵ですね✨
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意味を聞いたら捨てられなくなり、その日からずっと持っています。
「ムクノキ」
神様の依代(よりしろ)となる大木。三田八幡宮の中では一番大きな木です。実際に測ってみると幹周りは5m50cmもありました。幹周は、胸のところで測るそうです。
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下から見ると、上部がよくわからないほど大きく育っていますね。
「カゴノキ」
草野先生「樹皮の模様が何に似ているかわかりますか?」
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草野先生「この木は、子鹿に似ているから鹿子の木といいます」
本当だ!よく似ていますね。
このツアー中、先生は木の名前を覚えるコツとして、「意味を理解して覚えると良い」とおっしゃっていましたが、この鹿子の木もまさにそうですね!
参加者も手伝って幹回りを図ってみると267cmもあり、以前に測った時よりも成長していることがわかりました。
当たり前ですが、大きくなっていると、やっぱり生きているんだなぁと感心してしまいます。
三見中跡地
「メタセコイア」
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植物学者の三木茂博士が1939年に化石の状態で発見、1941年にメタセコイアと命名して発表した木。そのため、およそ100万年前に絶滅した種と思われていましたが、戦後に中国で自生しているものが見つかりました。
その種子を発芽させた苗木がアメリカのチェイニー博士から昭和天皇に贈られ、さらに、三木博士が設立したメタセコイア保存会にも100本の苗木が贈られました。
それから全国の学校にも配られたそうで、学校でよく見かけるのはそのためだったんですね!
先生のお話によると、水のあるところではグングン育つそうです。
かつて明倫小学校の校庭だった場所にも、メタセコイアの大木を見ることができるということで、後日見に行ってみました。
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草野先生の「メタセコイアが水が大好き」という言葉通り、その強い意志を感じさせる様子に、なんだか命を感じるのでした。