チング2000
いつまでも、いつまでも、この舌のままでさ。
高校生の時は、1000円あれば何でも出来るって
無敵!!何でも買える!!なんて思ってたのに、
いつからだろうね。
物足りなく感じるようになったのは。
美味しいハンバーグも、オムライスも、
あそこの高い焼肉だって、明日にでも食べたい。
ずーっと美味しいものに溺れて暮らしたい。
そんな強欲な私には、富豪になったとしても
この美味しさを忘れたくないと思う場所がある。
別府の裏路地を入った所にある韓国料理屋さん。
3人で2000円。
なのに、チヂミも、チキンも、トッポギも、
キムチ炒飯まで出てくる。
みんなで小さな机を囲みながら、座布団の上で、
4時間も5時間もワイワイ食べる。
チングという名の通り、ここには、いつも大切な友達がいた。
いや、むしろ、ここに来るとチングになるのか。
久しぶりに会った高校の同級生と、
1学期も頑張ったご褒美にシェアメイトと、
もう忙しくて耐えられないと頭を抱える友達と、
何時間も語り合うのは、チングって決まってた。
卒業して、働いて、大人になって。
結婚してもしなくても、子供がいてもいなくて
も、おばあちゃんになっても、死ぬ間際まで、
ずっとずっと、ふらっと食べに行こうよ。
大人になっても2000円の味、忘れちゃ駄目なんだからね。
いつだって君は私のチングなんだから。
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