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「困難な挑戦」があるところに身を置き続けることが自分の存在意義

 華々しいキャリアを歩みながらも、「自分のキャリアには興味がない」と話す西本。話を聞いていくうちに、企業の成長や仲間に対する強い熱意が見えてきました。彼は「大義に挑戦する企業・人に貢献したい」と語り、その信念に基づいて行動しています。これまでの経験やハコベルでの今後の展望についてお話を伺いました。

コーポレート本部長 兼 軽貨物事業責任者
西本 慎太郎 Shintaro Nishimoto
2009年に野村證券に入社し、投資銀行部門で10件以上の企業買収に関わる。2012年からドリームインキュベータ、ベイン・アンド・カンパニーで戦略コンサルティングに従事。その後、PEファンド傘下のエンバーポイントに入社し、CSO(戦略)、CMO(マーケティング)、CFO(財務経理)、HRBP(人事戦略)、アプリ開発事業責任者として幅広く従事。特にアプリ開発事業では、タクシー広告や営業強化によって売上を3倍に成長させることに貢献。ハコベルには2024年4月からコーポレート本部長として参画し、5月からは軽貨物事業部長も担う。成長戦略の実行、M&Aリード、IPOに向けたガバナンス強化を担う。

戦略コンサルから事業会社へ。そして「今のハコベル」に感じた魅力とは

—— 西本さんと言えば「戦略コンサル」から「事業会社」への転身の背景をぜひお聞かせいただきたいのですが、これまでどのようなご経験をしてこられたのでしょうか。

 私は大学を卒業後、投資銀行に入社し、10件以上の企業買収に関わりました。その業務を通じて、買収(how)ではなく、戦略(what)に対する強い興味が出てきて、戦略コンサルティングファームに転職しました。コンサルタントとしては、9年間で30件以上のプロジェクトを担当しました。

 ただ、どれだけ良い戦略をつくっても、実行・徹底ができない企業がほとんどで、企業や社会が良くなっている気がしない。しかし、なぜ実行が難しいのかは、外部からだとよく分からなかった。「そんなに難しいなら挑戦してみよう」と思ってコンサルを辞めてデジタルマーケティングのエンバーポイントに転職しました。

 エンバーポイントでは、経営企画部長/CSOとしてスタートしたものの、戦略だけにフォーカスすることなく、自分で描いた戦略を実行までやりました。気付けば、マーケティング、人事、ファイナンス、営業、新規事業…と、さまざまな責任者を経験しました。おそらく200冊以上の本を読んだと思いますし、インサイドセールスの茂野さんなどエキスパートの方々のウェビナーにもよく参加していました。分かったことは、実行はめちゃくちゃ難しいということ(笑)。
 なんとか4年超で売上・利益共に成長軌道に乗せることができて、そろそろ次に挑戦したいと思っていたときに、CEOの狭間さんから声をかけてもらいました。

—— そしてハコベルへ。もう少し詳しくお聞かせいただきながら、西本さんのモチベーションとのつながりを深ぼっていきたいですね。

 ハコベルに惹かれた理由は、そのポテンシャルの大きさと難易度です。
 他のかたインタビューの方が詳しいので割愛しますが、物流という重要なインフラのなかで、ハコベルは数万人のドライバーや荷主企業と関わり、そのネットワークを通じて物流の効率化を実現することができます。このスケールは非常に魅力的で、ハコベルがある世界・無い世界を比べたときには、数年後の生活の豊かさが結構変わるのではないかと思っています。

 ただ、物流という歴史のあるマーケットにおいて、既存の慣習を変えていくのは時間がかかり、非常に難しいことです。入社前の面談で会った社員たちが、社会貢献への強い想いと、まだ目標に届かないもどかしさの両方を持っていると感じました。
 私は自分のキャリアやスキルの追求よりも、大義を持った人や組織を支えることにモチベーションを感じます。ハコベルはその理想を実現するために最適な場所であり、ここでの貢献に大きな意義を見出しています。

入社後は3つの部門の責任者へ。これまでにない成長機会でありつつ、そのつらさをも味わう

—— そのハコベルで現在3つの業務を担っておられますね。どんな仕事内容でしょうか。 
 私は現在、軽貨物事業部の責任者、経営企画部長、コーポレート本部長を兼任しています。
 軽貨物事業部では、連携力とモチベーションの高いチームを目指して組織の強化に注力しています。現場では執行役員の田島さんが、難しい案件を横串で支えて、別動隊のような動きをしてくださっています。現場力が高くお客様へのコミュニケーションも卓抜しているので、個別案件は田島さんに頼りきりで、そういった棲み分けになっていますね。

 経営企画部長としては、ハコベルの全体戦略を策定し、実行に移す役割を担っています。具体的には、株主やパートナー企業との戦略的なコミュニケーションをサポート施策を推進しています。
 コーポレート本部長としては、財務経理、法務、人事などのバックオフィス業務全般を統括しています。これにより、全体が効率的かつ効果的に機能するよう支援しています。特に、IPOに向けたガバナンスの強化は最優先事項です。

—— 重責を担って同時進行ということですが、この4ヶ月ほど従事されてご感想は率直にいかがですか。

 まず、今の役割を任されていることは非常に光栄です。以前から知り合いの狭間さんだけでなく、経営メンバー全員から「この人なら任せられる」という評価をしてもらえたことは、重責ではありますがありがたい機会だと感じています。

 一方で、ハコベルのスピード感はすさまじい。前職の経験で「大体のことはできる」という自信を持っていましたが、ハコベルの経営陣の質の高さ・スピードには驚かされました。まだまだ至らない点ばかりで、正直、焦っています。

 しかし、私の部署のメンバーは私を信じてくれていて、これも非常にありがたいことです。そのため、まだ入社4ヶ月とか言っている場合ではなく、1日でも早く彼らの期待に応えたいと日々必死で取り組んでいます。

従業員が「今ハコベルを受けたら落ちている」と思うような成長スピードを組織にもたらす。会社の成長スピードに個人もついていけるように

—— これまでの経験をもって、ハコベルをどんな組織にしていきたいですか。
 第一に、まだまだ優秀な人材が足りません。コーポレート本部長としては、現在は採用にフォーカスしています。今いる人の平均よりも高いスキルの人を採用し、社員が「今のハコベルを受けたら落ちている」と良いプレッシャーを感じるような採用を続けたいと思っています。

 第二に、人材の成長です。ハコベルはすぐに倍になるスピードで成長しています。このスピードに追いつくためには、私たち自身も同じスピードで成長し続けることに挑戦しなくてはならない。これは相当大変ですが、採用だけでなく育成や効率化にも、同じ方針を持って注力しています。
 ハコベルの成長を支えるためには、採用と個々の成長が不可欠です。これからも高い基準を維持し、さらなる事業拡大を目指していきたいと思います。

荷物を運ぶ。そのとき最初に想起される企業にしていく。個人では自身の特技を捨て、次のステージを目指す

—— ありがとうございます。さて、物流業界についてやハコベルのビジネスについてはどのようにキャッチアップなさっていますか。

 物流業界は非常に専門的かつ人情の世界なので、ロジックではない部分も多くあり、キャッチアップが難しい領域です。また、現場に足を運んでもすべてを理解するのは容易ではありません。しかし、自分の強みや得意分野を活かすことで、知識が追いつかなくても価値を提供できると考えています。

 たとえば、ハコベルには10年以上のドライバー経験を持つ役員(石川さん)がいますが、その人に対してずっと後手で良いわけはなく、その中でも自分の付加価値を発揮すべきです。そう考えると、数ヶ月で物流の知識を全部つけようという話ではなくて、大切なのは、Day1から自分の強みを発揮することです。

—— ハコベルのカルチャー、社風についてのご感想はいかがでしょうか。これまでに「隣の芝生が青いと思ったことがない」と仰ったかたが2名いまして。これって非常に素晴らしいことだなと思っていますが、西本さんの視座では率直にいかがでしょうか。

 採用責任者として分かってきたことは、「社会に対して真摯に向き合いたい人」や、「物流が好きな人(あるいは好きになれると思っている人)」がハコベルに向いているということです。
 ハコベルの従業員は、物流や社会課題に対して非常に高いモチベーションを持っています。狭間さんがよく言っているように、業界に貢献しよう、インフラをよくしようという考え方を持っています。この理念が会社全体にカルチャーとして浸透していると感じます。

—— 社会課題を解決する仕事をしっかり利益も上げながらやっていくという部分において、西本さんのこれまでのファイナンスや各種の提携や連携についてもお力を発揮していかれるわけですね。

 はい、会社の理想を支えるのは私の役割なので、実際にそうした取り組みを進めています。全社員が幸福になるため、価値あるサービスを継続するために、会社が経済的に満たされることは重要だと思っています。
 目標としては、赤帽さんのような認知度をハコベルも持ちたいと考えています。荷主が「この荷物を運んでほしい」と思ったとき、運送会社やドライバーが仕事を探したくなったとき、真っ先にハコベルを思い浮かべていただける、そんな存在にしていきたいです。

—— ご自身についてはなにを目指していますか。

 ここ10年以上、CEOが描くビジョンを実現するサポートが自分の役割だと信じ、その質を高めることが目標でした。しかし、これは行き過ぎるとタスクが無限に増えて忙殺され、結果として大事な意思決定をCEOに委ねてしまうので、単なる何でも屋になる危険性にようやく気づきました。これに約12年かかりました(笑)。
 今後は、そうした献身的・黒子的な姿勢ではなく、ハコベルの事業価値を高めるために自分の意思・信念でフォーカスを決めて行動できるようにしていきたいです。すべてを同時にケアする必要も無いのだとわかりました。

 得意分野については、「ジェネラリストを極めたい」と引き続き思っています。CXOクラスからも「あいつなんでもできるな」と言われるようになりたいですね。キャリアとかスキルとか年収にも興味がないです。自分の信念で意思決定を行い、役員・部長を頼りにしながら、「すごく重要だけど誰も得意ではない施策」を自分で実行できるようになる方がモチベーションが上がりますね。






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