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<樹のある暮らし>街路樹を安心•安全に残していくためのチェックポイント6選

こんにちは。ガーデンプランナーのhacoです。
この時期になると、時々ニュースで目にする大きな樹の「倒木」。
先日も、突然倒れてきた樹木の下敷きになって死亡した方のニュースが記憶に残っている方も多いのでは。

今日はそういった倒木について。
考えられる原因や対策について私なりに整理してみました。

どうして今「倒木の事故」が増えているのか

倒木の事故が増えている理由の一つに、街路樹たちの高齢化があげられます。

日本の街路樹の歴史は古く平安時代にはその概念があったとされていますが、今現在の街路樹のほとんどが戦後すぐから植えられていったものだと言われています。
それらの樹の樹齢をザッと計算すると、80歳は超えていることになりますね。

まず、樹にも寿命があります。
そして、高齢化することで、樹も傷の治りが悪くなったり、幹の中の水分量が減ってきてスカスカになってきたり、、、そう言ったことが要因となって、枝折れや最悪の場合「倒木」といったことが起こりやすくなります。(人間と同じです。)

また、街路樹は比較的限られたスペースに植えられることがほとんどです。
そのような場所に植えられた樹が、年数を重ね成長し、大型化していくと本来植わっていた場所では根を張る場所がなくなります。
そんな場所の根っこが、太くなった幹を支えきれなくなり、結果的に根こそぎ樹が倒れてしまう。ということも起こっています。

これらの要因がいくつも重なって結果的に「倒木」に繋がっている場合もあります。

※だからと言って、街路樹は植えない。という極端な考えは反対です。

倒木の予測と事故の回避はできるのか

大きな樹が倒れてしまう時、そこにはある程度予測可能な場合があります。
また一方で、予測困難なものもあると考えます。

目視である程度、倒木の危険性があると判断きれば。
せめて人通り、車通りの多い場所は年に一度でも点検をする、また、それに伴った対策を行うことでが定期的におこなわれれば、痛ましい事故を回避することが多少なりとも可能になるかもしれません。

また、ご自宅のお庭や私有地の山林でも同様に、樹齢が50年を超える樹についてはこの機会にチェックをしてみても良いかもしれません。

<倒木の可能性がある樹>

倒木の可能性のある樹を、目視である程度判断するためには

1、年老いた樹
▶︎樹にも寿命があります。
大きくなっている樹については、いつ頃植えられたものなのか確認してみても良いでしょう。

2、多少の風雨でも、折れ枝が見られる樹
▶︎腕より太い枝が、多少の風雨でも折れて落下してくることが増えた場合には注意が必要です。幹の中の水分量が減ってスカスカの状態だとちょっとの衝撃で折れてしまう場合があります。

3、一部の枝(例えば幹の半分だけ。など)にだけ全く葉っぱが生えていない
▶︎樹、全体ではなく幹の一部だけが枯れることもあります。強風をきっかけにその部分に亀裂が入って倒木してしまうことがあります。

4、根っこが伸びるスペースがなくなり、根によって周囲のアスファルトなどが割れている
▶︎根っこが支え切れないくらい幹が大きくなっていると、根っこごと倒れてしまう可能性があります。

5、幹にキノコや苔が生えているように見える部分がある
▶︎樹木が菌類に侵されてしまい、菌類の分解によって徐々に腐敗が進み倒木のきっかけになることがあります。

白い部分は菌。
こちらも先日の台風10号の被害のあった桜の樹です。



6、幹に穴や筋が見られる
▶︎虫と侮るなかれ。テッポウ虫は幹に穴を貫通させるほどの勢いで木を食べます。シロアリも集団になると恐ろしい。
その他にも、鹿による剥皮なども樹を痛める原因です。

先日倒れた桜の木。西側の幹半分はシロアリの食害に遭っていました。

<予測できない倒木>

目視では、予測が難しい「倒木」ももちろんあります。

銀杏の倒木による事故では、事故の約1ヶ月前の点検では異常も見られず至って健康な銀杏に、おそらく葉や実が付きすぎたことが原因で、その重みに耐えられなくなって枝が折れたのではないか。と言った報道もありました。

他にも、落雷が原因の場合、どんな健康な樹でもダメージを受けることがあります。

街路樹計画をより慎重に

面白い資料を見つけました。
この資料は国交省が調査した資料で、街路樹の安全性の観点ではなく「街路樹がCo2削減にどの程度の役割を果たしているか」を見るために作成された資料です。

国総研資料 第 1246 号
【資料名】 わが国の街路樹 Ⅸ
【概要】本資料は、令和4 年3 月31 日現在供用されている道路に植栽されている樹木について、国土交通省各地方整備局※、北海道開発局※、沖縄総合事務局※、地方公共団体※、高速道路会社に対し実施した調査結果を基に、樹木の本数、樹種、 樹木タイプ別等に集計を行い、全国の街路樹の動向等をまとめたものである。

この資料によると、令和四年時点で街路樹として植えられているものの樹種で一番多いのがイチョウ(521,075本)次いで僅差でソメイヨシノ(521,053本)この2つの樹種が全体の16%となっているんだそう。

イチョウとサクラは街路樹としてとても人気なんですね。

冒頭に、街路樹の高齢化について少し触れましたが、近年になってこういった「倒木」が起こっている状況を鑑みると、このような資料と照らし合わせながら、今後の街路樹計画を立てていけたら。

そして、その街路樹の維持管理についても同時に予算及び計画化しておくことが安心・安全にも繋がるのかな。と思います。

まとめー街路樹の重要性について

街路樹の倒木による事故が相次ぐと、『街路樹は本当に必要なのか?』という議論が必ず起こるでしょう。

その時にはぜひ、大きな視点を忘れずに議論がなされたら良いなぁと思います。
そして、その極論の前にぜひ、既存の街路樹の現状の安全性だけでなく、数年後先の安全性をも検討して欲しいです。

さて、長くなりました。
他にも書きたいこと盛りだくさんですが、今日はここまで。

今日も最後まで読んでくださりありがとうございました。



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