よこてのカモシカ集団
私たちが暮らす横手市には、現在二十数件の麹屋がある。
世帯数3.5万ほどの横手市に麹屋が二十軒、と言えば、麹の消費量を想像していただけるだろうか。雪解け時期の味噌づくりから始まり、夏は農作業の合間に食べる野菜の浅漬け、秋は冬のための保存食を作り、冬は大人も子供も麹で作った優しい甘さの甘酒を飲む。一年中麹を使った料理がどの家の食卓にものぼるのだから、麹屋は一年中忙しくさせてもらえている。
物議を醸しだす、雰囲気を醸す、など日常でも「醸す」という単語を使うことがある。状況が沸き上がる姿を指して言うから想像もしやすいとおもうが、味噌や味醂、日本酒などが出来上がる工程を「醸す(かもす)」と表現する。よこてには醸す会社、醸す人、がたくさんいる。
そろそろ気が付いていただけたであろう、麹屋の親方が集まればそれは、「カモシカ(醸士家)集団」なのである。
これだけ麹屋がひしめく地域であるから、麹が良くなければお客様に選んでいただけない。互いに切磋琢磨する。地元愛とひいき目を除いても、横手の麹はどの麹屋のものもハイクオリティで使いやすい。
その中でも、とりわけ高い技術を持つカモシカ4頭(醸士家4名)が集まる組織「発酵のまち横手FT事業協同組合」。
麹づくりの技術を探求、改革し、人々の食を楽しく美味しくするとともに健康で幸福な暮らしに貢献する。自分たちの技術から美味しくて健康な毎日が生まれますように、という強い気持ちで集結したのである。
ライバルであり仲間でもあるこの四社が共同で研究開発した味噌がリリースされた。
カモシカ(醸士家)の中の一社、羽場こうじ店。
このnoteでは、その特徴をまとめてみようと思う。
【熟成味噌 ディフェンシン】について
よこての肥沃した土地に育つ良質の米と大豆。
甘みの強さが特長の「あきたこまち」と、香りがよく味が濃いことで知られる枝豆の品種を100%使用。
美味しい味噌の要になるのは「麹」。
もともと、麹の菌はカビの仲間であるから水分の無いところには入り込みにくい。米の粒一つ一つの中心にめがけて麹の菌を食い込ませるには相当の経験と技術が必要だが、米の内部にしっかりと菌が回った麹は酵素のカプセルになり、もの凄いチカラを発揮する。麹屋が目指す麹は総破精(そうはぜ)づくりと言って、米粒に菌がびっしり入り込んでいるもの。表面にふわふわしたものも表面にふわふわしたものが無いものも「麹」と呼ぶが、大切なのはどこまで菌が入り込んでいるか、である。
麹の菌は、用途によって使い分ける。
この「ディフェンシン」専用の麹菌は言ってみればじゃじゃ馬。性格を見極めてロデオのようにコントロールすることが出来るのはやっぱり、カモシカだから。
四季を通して醸された味噌の香りやコクは人工的に作ることが難しいとされている。麹の歩合が多いと味噌は甘くておいしくなるが、熟してゆく環境によっては麹歩合が多い味噌は正常な発酵が出来ず、腐敗の原因ともなる。
よこては一年を平均すると気温が10度前後、夏でも夜は涼しく自然醸造に最適の地。添加物を使用せず熱処理も施していない本来の美味しさをそのままお届けできるよう「生味噌」をパックに詰めている。
味噌には「強い身体づくり」に有用とされる成分が備わっていることは科学のチカラで解明されつつあり、私たち麹屋も健康機能の可能性に期待大きくしている部分だ。
この「熟成味噌 ディフェンシン」はたくさんの成分の中でも「ヒトβディフェンシン」に注目し、毎日の食事の中から体内での産生を高誘導することで免疫力を高め、外敵の体内侵入を防ぐ抗菌作用や防御作用を強化することが期待できる。
味噌は薬やサプリメントではないが、毎日食べて強い身体づくりができるとしたら、我々日本人にとってこんなに心強いことはない。
忙しい現代の私たちにとって食事の時間さえも煩わしく無駄に思える瞬間がある。しかし、誰もが健康で丈夫な身体を望んでいる。
健康のために食べる、というより、おいしく食べた結果健康になっている。
見えないウィルスと向き合いながら、食べるもの、食べ方を見直してみるのも、カモシカのスピードでというわけにはいかないかもしれないが、健康な身体への一番の近道かもしれない。
商品のお問い合わせご注文は、合資会社羽場こうじ店
発酵のまち横手FT(エフティ)事業協同組合まで
電話0182-32-9582(ファックス0182-32-7144) FTタウン よこて発酵のまち※外部サイトに移動します