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知識のバトンをつないでほしい

ノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥さんが、「実験を繰り返し、最後のページをめくったときに、「あった!」と言ったのが自分だった」と先人の功績を讃えたのです。
私が自分の拙著「わたし、虐待サバイバー(ブックマン社 2019)」に望むことは、読者の中に次の書き手が現れ、知識のバトンをつないでみんなで虐待問題の解決に向けて知恵を積み上げることです。また、一般論として、著者と作品(書物や絵画など)は分けて考えるべきだと私は思います。

人間はその時々で考えや感情が変わるのが普通で、一貫性が常にある生き物ではないからです。なので、私も自分の拙著に書いた内容と矛盾する自分も当然、存在します。哲学的探求の結果が作品であって、著者自身と相違があることが一般的です。

科学の現場では互いの研究結果を批判し合うことは常識です。自分の研究内容を正当に批判されることは、研究を進める上で次なるヒントを与えてもらっているに等しいものです。書物も同様で、賛同ばかりの感想だけでなく、私が気がついていないような盲点を指摘するような批判的レビューが出てくることが楽しみです。

Twitterをやっててよくあるコメントが「この病気・障害は科学でこう解明されているのに、お前は間違いだ!」という決め付けコメントの多さです。
「科学は変わる」のです。
過去にこれが真実とされた学会の見解が、間違いだったと新知見で覆されることもあれば、日進月歩、医学者や研究者が研究し、論文を書き、古い情報は、アップデートされています。全てが解明された分野など存在しないのです。
だけど多くの人が、科学は絶対的に確定したものという間違った認識をもっていることが多く、科学の認識の前提解釈が異なり、議論にならないのです。科学は常に流動的なもので変化するものである、という教育が必要だと思うのです。
私の拙著で「虐待サバイバー」がゴールでは決してないのです。私の中で今の最大限のものを書かせて頂いただけです。なので、そういう意味で多くの方に読んで頂き、正当な批判も含めて議論の材料に使ってほしいと切に願います。

※虐待の後遺症については、以下の書籍に詳しく書いています。精神科医の和田秀樹先生の監修・対談付き。







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羽馬 千恵 | Haba Chie
虐待の被害当事者として、社会に虐待問題がなぜ起きるのか?また、大人になって虐待の後遺症(複雑性PTSD、解離性同一性障害、愛着障害など多数の精神障害)に苦しむ当事者が多い実態を世の中に啓発していきます!活動資金として、サポートして頂ければありがたいです!!