【ネタバレ】silent最終話~感想をつらつらと~
人気ドラマsilentが最終話を迎えた。
見終えた後、一言では言えない、なんとも言い難い気持ちになった。ずっとなんだかもやもやしているので、とりあえず書き出してすっきりしたいところである。お付き合いいただけたら嬉しい。
まず、第10話のあらすじ。想は紬との距離が縮まるにつれて、そばにいたい気持ちと、ふとした瞬間に聞こえないというあまりにつらい現状に悩まされていた。そこで想が行き着くのは、やっぱり「また好きになんてならなきゃよかった」という結論だった。
そして、最終話の冒頭は二人が高校生のときの幸せな回想シーンから始まるのだが、そこから一瞬にして現在の重苦しい二人のシーンに切り替わる。想のつらさを聴いた紬は、付箋に「笑わない」「声出さない」「電話しない」「音楽聞かない」と一方的に伝える。そして想はだまって部屋を後にする。
私は、このやりとりが過去一番と言っていいほど納得がいかない。紬の言う「笑わない」「声出さない」云々の付箋を見て「そういうことじゃないじゃん!!!!」と一人で怒っていた。もしそれらのことを本当に想が望んでいるのだと、紬が本気で思っているのだとしたら、紬は想の何を見てきたのだろう、と思う。逆に、想が望んでいないとわかっていながそう言ったのだとしたら、「私はあなたのためにこれだけ尽くすんだから、一緒にいなさいよ」というすごく恩着せがましいセリフに聞こえる。どちらにせよ紬の強い怒りを感じるが、それを出さないのもなんだか腹が立ってしまう。
その後、想の希望で高校の教室で会う二人。黒板を介して、お互いの思いを伝いあい、途中から喧嘩のように、「笑わない」「声出さない」云々を紬が書いては、想が懸命に手で消すというやりとりを繰り返し、結局は想が「今は一緒にいたい」と告げる。一方、紬は、自分は「笑わない」「声出さない」なんてとても無理な自己犠牲をすると宣言しておきながら、想には無理しないで、なんでも話してと求める。この関係性、すごくアンバランスではないだろうか。こんな風に言われても「今は一緒にいたい」という想にも、疑問すら感じる。紬のどこがいいんだ…?
こんな感じで前半はすごく違和感が強かったが、奈々が春尾にハンドバックをねだるのは素敵だったし、「おすそ分け」のカスミ草の花言葉も良かった。そして、やっぱり想が名前を呼ぶのは湊斗だけなんだと思うと、湊斗推しとしては胸が熱くなった。
想が声を出すことに関して言えば、最後まで紬は名前を呼ばれることはなかったけど、もしかしたら想が耳打ちしたのは紬の名前だったのかもしれない、と視聴者の想像を膨らませるような演出も良かった。あえて紬の名前を最後まで呼ばなかったことに大きな意味を持たせたと言えるだろう。
色々文句も書いたが、毎回必ず号泣してしまうほどのめりこんで観たドラマは久しぶりだった。これからも想や紬、湊斗たちの日常は続いていくのだろうと思ってしまうほど、とてもリアルに繊細に作られたドラマだったと思う。続編や映画化は全く希望しないが、もっと友情関係をメインに描いたもの、例えば、湊斗が主人公のスピンオフがあったら嬉しいし、作りやすそうだなと勝手に思っている。
まとまりに欠けるが、silentの感想はこれにておしまい。