ヤクルト・市川悠太 超高速牽制の是非
市川最大の特徴
東京ヤクルトスワローズの高卒5年目右腕、市川悠太。
市川と言えば独特なサイドスローのフォームがまず挙げられるが、
個人的に彼の最大の特徴は、牽制にあると思っている。
牽制の気配を感じさせない雰囲気から、突如振り返って超高速の送球。
走者は彼の牽制に最大級の警戒をしなければ
呆気なく刺されてしまう。
この超高速牽制でアウトを取る場面は何度も見てきた。
だが、あまりにも速さを追求するがゆえになのか
精度が非常に悪いのが玉にきず。
今年の2月からだけで見ても、
牽制悪送球で走者に進塁を許してしまう場面を
体感2試合に1回は見ているような気がする。
超高速牽制が及ぼす悪影響の例
5/31エスコンフィールド・日本ハム戦の初回は、
市川のそんな牽制の悪いところが全面に出た失点の仕方だったと思う。
2番・細川凌平に四球を出し、
1死1塁で迎えたのは3番・A.マルティネス。
2球目を投じる前の牽制を悪送球してしまい、
一気に1死3塁へと変わってしまう。
その動揺もあったのか、直後マルティネスに死球を当ててしまい
1死1,3塁の状況を作って
前日3打数3安打2HR1四球と絶好調の4番・万波中正
との同学年対決へ。
絶好調の選手に対して得点圏でストライクゾーンへと
簡単に入れに行くのは難しいし、
かと言って走者を3塁に置いているので
大胆に攻めすぎると暴投からの先制点を献上
なんてことにもなりかねない。
結果際どいところを狙ってボールが先行し、
万波にも四球を与えてしまって1死満塁。
その後5番・加藤豪将の併殺崩れの二ゴロで
三塁走者が生還、無安打で先制点を与える結果となった。
ここでまず1番に悔やまれるのが、
1死1塁の場面で牽制悪送球から
走者を一気に3塁まで進めてしまった点だろう。
アウトカウントに余裕がある,かつ走者を3塁に置く という
暴投の間に1点、内野ゴロ犠牲フライでも1点 など
気にしなければいけない要素が極端に増えてしまう盤面。
自分のミスが原因で、初回から3,4番をそんな難しい盤面で
迎えなければならないのは やはり苦しい。
超高速牽制はいくらアウトを取れる可能性が高いからと言って、
その分ミスも多くなりその結果自分を苦しめてしまっているのではないか
という考え方が出てくるのは当然だろう。
実際のところ、
この問題を市川やヤクルト首脳陣はどう考えているのだろうか。
超高速牽制のメリット・デメリット
これに関して考察を進めていく上で、
超高速牽制におけるメリット・デメリットを
改めて精査していく必要がある。
超高速牽制のメリット
①牽制死を平均的な投手よりも取りやすくなる
=牽制で物理的にアウトを回収できる確率が高い
②盗塁のスタートを遅らせて盗塁阻止率を上げる,
相手の盗塁企画数そのものを減らす
=盗塁の阻止力・抑止力が平均的な投手よりも高い
③リード幅等も含め、インプレー時に
相手が1つでも先に進塁できる可能性を低くできる
=盗塁以外の見えづらい進塁を平均的な投手よりも防げる
超高速牽制のメリットを語るうえで、やはり①の効果が
大きく取り上げられるように感じるが、
ファンが見ている以上に
②③も一定以上の成果を上げているのではないか
と想像している。
超高速牽制のデメリット
・精度が伴わない場合、牽制悪送球により
平均的な投手より牽制ミスで相手に進塁を許す
場面が増えてしまう
以上のメリット・デメリットの大きさを考慮して、
超高速牽制をすることで
最終的に相手の進塁を防げているのか?
がとても気になる。
損益分岐点はどこにあるのか
多少の牽制悪送球での被進塁は織り込み済み。
それ以上に牽制アウト獲得や相手の進塁を防ぐ効果があって、
プラスマイナスしていった結果プラスに傾いている
と市川本人やヤクルト首脳陣が考えているなら良いと思う。
いくら多少アウトが取れたり
細かい進塁意識をそげていたりするからといって、
牽制ミスからの失点がそれ以上に手痛いことに
なっているならば意味がない。
そこの損益分岐点がどこなのか、をズブの素人である私が
論じるところまではできないのが正直なところ。
最終的な良し悪しは決めつけられないが、
今回私が皆さんに伝えたいのは
牽制ミスというリスクをある程度許容しつつ
それ以上のリターンを狙って超高速牽制をしている可能性
というのを頭に入れて、市川を応援するのはいかがだろうか。
という話。
あの牽制が一塁走者にどれだけ嫌がらせをできているか、
牽制ミスの確率や牽制アウトの確率とかも含めて、
最終的な失点数を1点でも減らせるよう
プラスになっていると良いのだけれど。
なんにせよ、あの牽制の是非は数試合程度じゃ測りづらそうだ。
市川本人や高津監督がそのあたりをどう考えているのか
直接聞いてみたい気持ちが非常に強い。