
【ヤクルト】No.1投手プロスペクトとの呼び声もある丸山翔大の早坂的注目ポイントを紹介

2020年育成ドラフト4位の大学生という期待値が相当低いところからプロ入りし、4年目となる昨季に上記のような成績を残せるまでに成長した194cmの長身右腕。これだけ分かりやすい成績を出しているわけだから各メディアがヤクルトの投手プロスペクトとして取り上げているのをよく見かけるが、流石にフワっとしすぎている。ということで私、早坂がもう少し深掘りして個人的注目ポイントを紹介していく。
丸山の注目ポイント
1.丸山の投球を支える3種類のフォーク
丸山の特徴的な球種と言えば、なんといってもフォーク。

投球割合全体の27%を占めるフォークは被打率.156(32-5)と、打者を抑える中心的な球種となっている。
小題にもある"3種類のフォーク"と言うのは以下の3種を指す。
①回転数が少ない遅くて落ちるフォーク
②いやいやこれ多分ツーシームですやん的フォーク
③速くて落差のあるフォーク
①回転数が少ない遅くて落ちるフォーク
体感の平均球速は128㌔程度と、フォークにしては遅め。近年フォーク/スプリットで言うと、150㌔を投げられる投手は130㌔後半~141㌔程度は出しているイメージがあるし、実際ストレート150㌔との球速比で言うと137㌔くらいが適切らしい。140㌔後半~151㌔くらいを投げる丸山にとって128㌔のフォークは遅いから、これって実際良いのか悪いのかどっちなんだろうと疑問に思っている。
なぜフォークが120㌔台とやや遅めなのかで言うと、おそらく回転数が平均的なフォークより少ないからだと考えている。実際、丸山の遅くて落ちるフォークをスロー再生して見てみると他の球種や他の投手のフォークより回転していないように見えるし、回転数と球速は基本的に比例するらしいから、丸山の遅いフォーク=回転数が抑えられたフォークなんだろうなと解釈している。
フォークはバックスピンか回転数を減らすことで重力の影響を受けやすくして落としているわけで、丸山の場合は回転数を多めに減らす(代わりに球速が遅くなる)ことで落差を実現している。
ちなみに、大谷翔平とかが投げているめっちゃ速いフォークは回転数が平均的なフォークよりも多いから球速が出るし、回転の与え方は重力に逆らう力が働くバックスピンではなくジャイロ回転を多めにしているから落差を犠牲にしないで済んでいるらしい。
この辺の(自分の理解を踏まえた)解説を始めちゃうと丸山の紹介から脱線しちゃうのでここで止めておく。
②いやいやこれ多分ツーシームですやん的フォーク
2番目に取り上げるフォークは、一転してかなり速い。142-144㌔くらい出るが、その分落差はかなり小さく、ややシュート気味に落ちる。落ちているのかどうかもやや分かりづらいから、何かの片手間で中継を見ていたらストレートだと思うかもしれない。
…はい、これはフォークではなくツーシームです。でもさっきの投球割合にツーシームなんてなかったやん!と思うだろうし、スポナビの一球速報を見ていてもフォークと出る。
ここで、フジONEの中継でたま~に出る投手の握りにズームしたスロー映像をもとに、①のフォークと②のフォークの握りを私が再現したものを見てみよう。
※ピッチャーやったことないド素人がそれっぽく真似してみただけ
①回転数の少ない遅くて落ちるフォーク

②いやいやこれツーシームですやん的フォーク

いやいや、これよく分からんけどツーシームなんじゃないの?
ツーシーム 握りで調べてもこんなような握りが出てくるんだけど。
でも、スポナビがフォークって言ってるし、複数種類のフォークを操っているって書きたいから、これはフォークです。"ツーシーム的"フォーク。
このフォーク…この球種は右打者に入ってくる球としても使えるし、左打者から逃げていく軌道としても使っているのが見受けられる。カウント球なような感じがしながらも、低めに投げると三振が取れたりもする万能な球種。こういう"ツーシーム的な"軌道があるだけで投球の幅が広がるから見ていて楽しい。
③速くて落差のあるフォーク
これが"いわゆる"なフォークだし、見ていて一番気持ちの良い球種。9/28の神宮阪神戦で森下翔太から奪った三振は141㌔で鋭くストーンと落ちるフォークで、これだよこれ!となった記憶がある。ただ、逆に言うと少なくとも神宮での登板では③のフォークが決まる印象はこれ以外ほとんどない。
①と②のフォークは多用するが、③は投げている場面をチラっと見たことはあるもののほぼ使わない。だからこれは選択肢③として持っているというよりは、意図的には投げられないけど①か②を投げようとして③になりました、とか、③のような軌道のフォークを練習中です、が実態なんじゃないかと勝手に思っている。①-③全部投げ分けられたら最強じゃん、みたいな浅はかな期待をしている私としては、2025年の丸山がどういう種類のフォークで組み立てていくかが非常に楽しみ。
3種類とか書いといて、1つは実質ツーシームで1つは積極的に使ってる選択肢じゃないとか実質1種類じゃねぇかよ、みたいなツッコミは受け付けない。
2.100㌔台スローカーブを織り交ぜる器用さ
これ、地味に好きなんすよ、おーん。
緩急つけるため,相手に意識させるためというのが先行してストライク率度外視で投げてます感が一切なくて、きっちりカウントを稼ぐ選択肢の1つとして機能している。実際数字にするとどうかはちょっと分かんない。50%超えるくらい入っているイメージなんだけどバイアス入ってるかも。
あと、変化球で言えば 細かくは書かないけど左へのインハイ気味スライダーが良い。スライダーも128㌔くらいで若干遅ぇなと思ってるけど、意外と空振りが取れる。
個人的に気になるポイント
どこか頼りなく感じる直球
1番の伸びしろはストレートにあると思っている。確かに決まった時の150㌔ストレートは突き抜ける感じがあって清々しいのだが、あまり安定感がない。ゾーンに投げてファウルでもなんでもいいからカウントが欲しい場面でもボール球になってしまう印象。最大値を考えると、もっと直球でガンガン押せそうな期待感はあるんだけどなぁ。ストレートに関しては細かい制球とかは度外視して、とにかく力強い球をゾーンへアグレッシブに放れるようになってほしい。それこそ平均球速や最速を伸ばして、もっと直球に自信を持てるようになると変化球もより活きてきそう。
今年で大卒5年目とは言え、相当線の細かった素材型投手。プロ入り当初から10kg増えた194cm/90kgと順調に身体もできてきているので、次のステップアップとしては直球の質の更なる追求になるのではないだろうか。
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