引力の正体は楽しいということ|ひかり
職場のグループLINEの中におられる男性のアイコンがずっと気になっていた。
あの小さな丸の中からも目を引く魅力が色濃く漂っていて、失礼しますという気持ちと共にアイコンをクリックしてみると、からだを寄せ合う馬が2頭描かれた、とても美しい絵だった。
アートを鑑賞することがとても好きで、家族の共通の趣味でもあり、観たい展覧会に合わせて旅行を組むことが多いなど、私たちの暮らしの中で大きな存在である。
だから、そのアイコンを見て気になっていながらも、LINEのアイコンをまじまじ見られているなんて、ちょっと引かれるかなとも思い、そのまま過ごしていた。
でもやっぱり気になるから、どなたが描かれた絵なのか尋ねることにした先日。
すると、なんと絵はご本人が描かれたものだった。しかも現物は職場の施設に飾られているらしい。
その日の帰りに一緒に絵を観させていただいたが、離れて見ないと全体を把握できないほど大きな絵で、安心を感じながらも、遠く知らない場所のような不思議なバランスが漂う素敵な絵だった。
こんなに魅力的なアートに身近で出会えたことが嬉しく、興奮冷めやらず、帰宅した夫にすぐに話をした。
それから少しして、自宅にある他の絵もよかったらと誘っていただき、家族で観に行かせていただくことになった。
絵に込められた意図や、技法まで一枚いちまい丁寧にお話してくださり、気づけば3時間、大きめの展覧会をじっくりみるのと同じくらいの熱量で滞在していた。
絵を鑑賞する時に、感じたことを自由に受け取って新しい世界と出会うことが喜びだが、作品と作者の意図を同時に受け取ると、その合致具合からインプットの速さが爆速で、扉が一気に何枚も同時に開いていくパワーがある。
お話を聞いていると、絵を描くことを真剣に楽しんでいることが伝わってきて、どんどん引き込まれた。
絵意外にも様々なことに出会われていて、中には興味のないものにもあえて飛び込んでみたりすると、意外な面白さにのめり込んだりすると仰っていた。
実際、私も断りきれずに大人になってから始めた書道の稽古も、先生が面白がって楽しんでいるその波に乗せられて引き込まれ、引越しをして稽古場が離れても、辞めずに続けている。
面白がること、純粋に楽しむこと。
それは周りを巻き込んでいく大きなパワーになると感じた。
楽しむことという、エネルギーの純度の高さに触れ、私の気持ちも弾んだ出来事だった。