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昨今のハリウッド映画事情について~どうでもいい話ですが気になってしまうのです~

 米国の映画が活況を呈している。今年に入ってしばらくはヒットも控えめで、昨秋の脚本家並びに俳優組合の長期ストライキによる作品枯渇も相まって悲観論が主流でしたが、この初夏から「Inside Out 2」の嘘のような大ヒット、続くマーベルに渇望の客を一気に満たす「Deadpool & Wolverine」のとんでもないヒットのレベルに驚いてしまう。現時点でこの他、「Dune: Part Two」「Godzilla x Kong: The New Empire」「Kingdom of the Planet of the Apes」「Kung Fu Panda 4」「Bad Boys: Ride or Die」「Despicable Me 4」などが期待以上の収入を上げているのです。ド派手映画でもなくフランチャイズ映画(続編もの)でもない、ラブストーリーのしかもビターな「It Ends with Us」が空前のブームを巻き起こすなんて素晴らしい環境が出来上がっているのですね。さらに現時点(2024年9月20日)で「Beetlejuice Beetlejuice」が36年前のヒット作の続編として、あり得ない興行成績を打ち立て中とは。

 コロナ禍による配信への移行の結果、劇場で映画を観る習慣が途絶えてしまった危惧もふっ飛ぶ好景気。やはり大画面・大音響の迫力を望んだ結果なのであれば喜ばしい限りですが、そう単純でもなさそうです。上記の作品中「It Ends with Us」以外はすべてフランチャイズ映画って点です。新機軸の打ち出せないハリウッド、過去作の焼き直しや続編に偏る貧困ぶりに不安は払拭されない。過去の知名力にすがってたら、それを乗り越える結果はまず見込めない。何年かしてタイタニックのヒロインであるローズのその後を描く「タイタニック2」とか、若手ニュースターの主演によるリニューアル作品とか、観たいですか? 安易な手法で安易なヒットを獲得してたら、お先真っ暗じゃないですか。

 翻って日本の状況はと言えば、前述の作品達が週毎の興行成績で第1位を獲得なんてニュースをついぞ聞きません。トップはいつだって邦画アニメなのです。近隣のアジアも含め、これらの大ヒット作は全世界的にも大ヒットな程にワールド・ワイドなのに、日本だけが超異質なのは何故? 諸々社会的現象において日本ガラパゴスと言われてますが、こと映画においてもドストライクのガラパゴスと言えましょう。米国でぶっちぎりの大ヒット作も日本ではせいぜい3~4位がいいところが実態です。ハリウッド映画が日本でもトップなんて昔の遺跡状態なのです。

 この点を明確にするために、2024年9月20日のあるシネコンでの上映詳細を調べてみました。ここは日本最大のスクリーンを誇る劇場です。

この日の上映作品本数は 40作品、このうち
アニメ映画がなんと     13本 割合 32.5%
CGアニメ(米国産ってわけ)が 3本 割合 7.5%
コンサートライブがなんと   3本 割合 7.5%
実写映画の内邦画が     12本 割合 30.0%
実写映画の内洋画が      9本 割合 22.5%
って内訳です、40本の内洋画が僅か9本って隔世の感ありますね。

このデータを、この日の上映回数とさらに割り振られたスクリーン毎の座席数を加味しますと、総合計18,570席分 その占有率
アニメ映画がなんとのべ 7,671席分 41.3%
CGアニメが    のべ 2,094席分 11.3%
コンサートライブがのべ 1,163席分  6.3%
実写映画の内邦画がのべ 5,471席分 29.4%
実写映画の内洋画がのべ 2,171席分 11.7%

 アニメ合計では52.6%、もちろん全回満席なんてあり得ない、けれど映画の供給側の態勢ってのが如実に表れているのは確かです。過半数がアニメ! ジブリの活況に耕されたアニメ文化に、10年前の「君の名は。」の彗星のごとく登場し、一挙にアニメシフトが雪崩のように始まった。もちろん漫画・単行本・アニメ専門誌等により根っこが張り巡らされた結果ですが。そんな過程で京都アニメの悲劇も忘れてはならないでしょう。

 そして、実写の洋画がわずか11.7%ですよ、本数割合22.5%では見えない真実がここに見えるのです。言い換えれば映画館側としても背に腹は代えられないわけで、儲かる作品をひたすら最大化するのが賢明な経営者ですから。だからデジタルに代わって容易に上映できるようになったライブ配信も増える一方です。ピンポイントのファン対象でも、通常料金の倍なんて考慮の対象外なのですから。興行なんて水もので、もし洋画で予想外のヒットとなれば、直ちに上映スクリーンをキャパの大きな部屋に変更し、部屋数も増やし、上映回数も増やしますよ。

 経済的論理の結果を嘆いても仕方ありません。「へっ、猿の惑星ってまだやってるの?」ってのがフツーの人の感覚なんです。だから、こんな拙文ここまで読まれて、「だから何?」って方はフツーの方なのです。お読み頂けるだけで光栄です、それ以上以下でもありません。失礼致しました。

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