
オススメ映画「バッドボーイズ RIDE OR DIE」~お馬鹿漫才コンビの滑る話とド派手アクションを頭空っぽにして観てください~
ハリウッド定番のバディものも昨今めっきり減りましたが、この黒人2人組は幸いにも健在で、実年齢まるで無視の潔さも痛快で堂々とバッドボーイを劇中でもセリフで名乗る勢いがある。1995年の第1作は2人の胸熱友情がド派手アクションに溶け込み良く出来てまして、8年後に続編が作られ、しばらくブランク。何を思ったのかハリウッドの続編依存の風潮で、なんと17年後に主演の2人がボーイなんて到底呼べない歳なのに、前作である第3作が作られ超ヒット。当然の論理で今作があり、これが驚く程に前作のプロットを踏襲し。脇も前作から引き続いてのご出演とはご同慶の至り。

もとより2人の掛け合いが漫才の如くのノリがポイントですから、ほとんどコメディの範疇。ボケ担当のマーカスの有り様なんて到底警察資格なんぞ剥奪のレベルです。それも腹抱えて笑える次元ならともかく、英語的ジョークもあり、日本では滑ると言いましょうか、白ける場面も多々あるのは残念ですね。で、前半しばらくは人物の絡みがまるで頭に入ってこず、ダラダラとした掛け合いが続く。どうでもいいけれどマーティン・ローレンスって、ディスニー・ピクサーの「ソウルフル・ワールド」の主人公にそっくり。

で、中盤からアクションのエンジンがかかり、やっとそれらしくド派手に滅茶苦茶でも楽しいシーンが続く。何と言ってもこのシリーズは一挙手一投足がヒリヒリとかっこいいウィル・スミスの存在で持っているのは確か。その意味で2023年のアカデミー賞の授賞式での全世界を唖然とさせたビンタ事件後、初めてのウィル・スミス作品の公開ですが、本国での大ヒットぶりからまるでスターとして安泰のようですね。本作のクライマックスで意識が遠のくシーンで、マーカスから「しっかりしろよ」とばかり数発のビンタを浴びせられるのは、なかなかの策士ぶりですね。

当然にウィル・スミスはイケメン範疇ですが、今回は随分とイケメンが揃って驚きました。まずはマイクの息子役アルマンドに扮したジェイコブ・スキピオのスリムマッチョぶりの上、憂いを湛えた演技も見事。警察サイドのドーン役のアレクサンダー・ルドウィグは金髪碧眼の完璧容姿で2人を支える。ヒール役のエリック・デインの渋みは男の色気ただ洩れです。さらにマーティンの息子レジ―役のデニス・グリーンが思わぬ大活躍なのが痛快そのもの。もし第5作があるのなら「バッド・ボーイズJR」とでも題して、これらの若手2人をトレーニングする設定で、これでもってリタイアしてもよろしいのではないか。

それにしても、彼等の住まいの豪華なこと!日本の物差しとは当然違いますが、中堅刑事で私から見ればあんな豪邸住まいとは驚き。マーカスが無謀にも神がかった道路横断時に、怒った金髪オヤジは本作1と2の監督であったマイケル・ベイですね。クライマックスでの閉鎖されたワニ園での大掛かりなアクションも、随所に結構な長廻しを駆使し真摯に取り組んでいるのが解ります。