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3 steps ”IN”

Opening

Urban Knights - Wanna be with You


Knowing is not enough; we must apply.

Goethe


I. 石が流れて

 イノベーションを起こすには3つの”IN”が必要です。

 い. Inheritance… 継承(守)
 ろ. Interchange… 変換(破)
 は. Innovation… 革新(離)

 この3つの段階を順番に踏むことが大事です。
 誰もが「イノベーションを起こそう!」と考えたとき、いきなり新しいものを持ってきて既存のものと取り替えようとしますが、それでは軋轢が生まれるだけでなかなか前に進むことができない状態になります。そうなってしまうのは、ちょっと大げさな表現になりますが、戦争においてその地域に元からある文化を全て壊し、自国の文化を入れていく『侵略』と同じ行為だからです。

 ただ、革新を進めたいと思っている人たちも『侵略』なんてつもりは毛頭ないでしょう。むしろ「もっと良い会社にしたい」との思いからイノベーションを考えているのではないでしょうか。「もっと良い会社にしたい」ということは、その会社の理念ややり方などは継承しているはずなのです。なぜなら、会社の良いところも悪いところも継承しているから判ることであって、何も知らない・受け継いでいない人が判るわけがないからです。

 古いものを新しいものに取り替えるとき、『+α』のことを考えます。取り替えた後でも既存の業務に支障がない、もしくは業務に変更があっても人的・時間的なメリットがあるから革新することに意味があるのです。

 では、なぜ、うまくいかないのか?
 継承から革新に移行するには、1つ、段階が足りないからです。その段階が上述の”い・ろ・は”の『ろ』、Interchange(変換)ですね。

 元々のもの → 変換したもの
   a    →   A  +α

 ここで大事なことは「a」を変換したものは「A」であり、「a」の要素は残っている(=受け継いでいる)ことです。
 変換したものである『A +α』を見ると『a』とは外見が全然違うので、まったく別のものになってしまったと思う人もいるかもしれません。まぁそこをちゃんと伝えるのが難しいところですが、乗り越えなくては進みませんからね。

 元々のものと変換後で外見がまったく変わってしまったものは、古くは『かまど→炊飯器』、比較的新しいものなら『固定電話→携帯電話』などです。
 これらを見ればすぐに判りますが、外見はまったく違うのに元々の機能は維持、もしくは改善されていて、且つ、元々は無かった機能が付加(+α)されていることです。

 かまどの『米を炊く能力』を継承し、動力を火から『電気』に変換して、+αとして『タイマー』などの新しい機能を加えることで革新していますね。

 継承 → 変換 → 革新

 この順番でイノベーションを起こしています。
 かまどを使い慣れている人からすれば『炊飯器』なんて得体の知れないものに取り換えられることは、ちょっと”怖い”と思ったかもしれません。しかし、取り換えることが上記の順番になっていて、利にもなっていたので広まったのです。
 イノベーションを起こそうとしている人たちを見ると、

 かまどを”炊飯器に変える”のではなく、
 かまどを”トースターに変える”。

 このような印象を受けることがあります。まさに、継承なしで革新だけしようとしているかのようですね。言うまでもなく、トースターの目的は米を炊くことではなく『パンを焼くこと』ですから、元のものを継承していません。

 主たる目的だけ取り出して残し、他を変えれば良いのです。が、なかなか上手くいかない原因の1つに、日本は手段と目的が入れ替わっていることがあることも事実でしょう。

 さて、先ほどまでは『革新する者』についての問題点を話しましたが、今度は『革新される者』の問題点について見ていきましょう。
 ”真逆の視点”です。




Willing is not enough; we must do.

Goethe


II. 木の葉が沈む

 ”手段”と”目的”が入れ替わっている。
 かまどの話が判りやすいから引き続き使うけど、かまどの”目的”は『米を炊くこと』やんか。

 手段… かまど
 目的… 米を炊く

 んで、これが入れ替わると、

 手段… 米を炊く
 目的… かまど

となって「かまどを他のものに変えるのはイヤだ!」となるのよね。こうなってしまうと炊飯器は永遠に使われることはないやろね。かまどを使うことが目的やき、炊飯器を使うことはあり得んのや。

 特に、会社では創業者や古参の社員ほど、手段にこだわってそれが”目的”になってて、手段を変えること(=かまどを変えること)に抵抗するようになっとる人もいるやろうし。長くやってるとこだわりが生まれてしまうのよね。過程や道具にこだわってしまうってのはよくあるわな。

 それなら、”本来の目的”を思い出してもらうしかないね。本来の目的とは「この会社はなんのための会社なのか?」っていう、まさに出発点や。

 ほとんどの会社が「人々の役に立つものを生み出すため」とか「より良い社会になるための貢献をする」とかを出発点にしとったやろ。というか、そうやないととっくの昔に潰れてるはずやし。んで、それをやってきたから今まで経営できたんやからな。

 α. かまど → 炊飯器   これなら『是』やけど、
 β. かまど → トースター こっちは『否』なんや。

 んで、

 α… 手段が変わり、目的は変わらない
 β… 手段も目的も変わる

ってことやんな。
 αなら受け入れることはできるんやけど、βなら拒否するのも頷けるやん。

 革新をすることによって「人々の役に立つものを生み出すため」っていう会社の目的が他の目的に変わってしまうなら、先ず「その目的はなにか?」ってところから説明せんとあかんなるしな。

 出発点に立ち返ると、手段と目的がいつの間にか入れ替わってたことにも気づくやろし、革新についても「この革新は、会社の目的を変えずに手段だけ変えることなのか、それとも両方とも変えることになるのか?」の見極めが効きやすいんやないかね。

 世間では『ブレない』ってことをすごく良いようにしか捉えない風潮があるけど、見方を変えれば『駄々』になることもあるから、個人的には『ブレない』ってのはあんま好きやない。
 やけど、”軸を持つ”や”芯がある”なら判る。んで、これらが先述の出発点になった目的である「人々の役に立つものを生み出すため」とかやないかね。

 人生100年とか言われてる現代で『ブレない』ってのは「それは本当に人間なのか? 初期プログラムをアップデートされなかったただの機械やないの?」と思ってしまうで。人間なんてブレまくって当然やし、ブレまくっていく中から少しづつ『軸・芯』となるものを見出していくもんやないのかね。

 流れない石が丸くなることはないし、最初から磨かれて輝いてるダイヤモンドもないんや。止まっとるやんそれ。手段にこだわって革新しないことを『ブレない』って言うのかね。
 いや、伝統芸能とか伝統工芸品とかなら判るで。それはその方法やないとあかんからやろ。ここで言うてんのはそういうもんじゃないのよ。

 なんか伝統工芸品でも作ってるかのようにブレずに手段にこだわってる人もおるけど、「じゃあ、かまどで米を炊け」って思うけどね。やったら判るけどめっちゃしんどいで。とても毎日なんかできんな。10年に一回とかでええ。




Ending

Jon Pardi - Ain't Always The Cowboy


III. 狭間

 イノベーションを起こすには”相互理解”が必要です。どちらに何が足りないのかを見極めることが大事です。

 革新する者… 継承してから変換しているのか
 革新される者… 手段と目的が入れ替わっていないか

 これらをお互いに確認し合い、何度もすり合わせを行う必要がありますね。

(継承 → 変換 → 革新。この順番は
論理的思考でもあるから”垂直思考”やね。んで、
手段 ⇄ 目的。こっちは等価交換のつもりやから
”水平思考”なんや)

 本来、手段と目的の間にある矢印は『手段 目的』なので、こちらも”垂直思考”なのですが、やっていくうちに2つが『同位』になることがあるのです。

(同位になるき、等価交換、水平思考をして
入れ替えてしまうのや。まぁ、やってる本人に
自覚はないけどな)

 日本は職人文化ですから、『考える人』よりも『作る人』に重きを置くところがありますからね。

(考える人が目的を決めて、
作る人が手段を決める…
みたいな感じやで)

 ここの”摩擦”というか”食い違い”が、いろんな軋轢の原因になっていそうですね。立場では、

 日本型… 考える人  作る人
 欧米型… 考える人  作る人

 こんな感じです。

(めんどいから『考える人 = 作る人』にして
等価にすればええのに。そしたらまさに『同位』やしな)

 それができない世界みたいですね〜。
 手段と目的が同位になってしまうのは、『こだわり』が原因でしょう。こだわりを持つことで、手段と目的が同位になってしまうのです。だから、なかなか捨てられなくなるのですよ。

(やから最初から同位でええんちゃうの)

 人は”上に立ちたい”ものですから。

(めんどくさ。
そんなんやから発展が遅れるんや)

 権力の座に就く、権力を手に入れるとそうなるのが人間ですよ。

(シバいたったらええんや)

 暴力はダメですね〜。それではまた〜🎵

(次は何を話そうかな〜…ほなまたね🎶)


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