献身的って言われて喜んでると利用されるだけだぞ
「私は副委員長だから給食の準備を毎日手伝っている!」
登校前に長女が教えてくれたエピソード。誰かの力になっているのは偉いなと感じつつ気を張りすぎてないか心配になった。
長女は学校では本当にお利口さんである。先生の話をよく聞いて周りのお友達にも言って聞かせる。典型的な学級員タイプである。
一番上の子は我慢を強いられるので大人の立ち振る舞いをしているが、子供ならもっと我がままで自己主張したっていいのにといつも思う。でも長女は献身的に行動するのが好きなのである。
週末は電池切れを起こしてダラダラしているところを見ると子供だなと安心しています。
この「献身的」という言葉はポジティブな表現で使われることが多いです。
いつも一生懸命頑張っている。みんなの力になっていると捉えると悪い気はしない。嬉しくなったりします。
ネガティブに受け止めてしまうとあいつに頼めばなんでもやってくれる。あいつに仕事振ればいいだろうと感じて嫌な気分になる。なんだか都合のいい存在である。
会社に入ると献身的に動くことは非常に大切である。
製造業は実際にモノを作っている製造課に加えて製造した製品を分析する部署(品質検査や品質保証)、生産計画を考えたり倉庫への保管、顧客への出荷を調整したりする部署(生産管理や物流)など多くの方が関わっております。
さらに本社の事業管理や営業まで入ってくると調整することが増えて本当に大変です。JTCなら役職を増やすために組織を細分化させていくので組織間での連携がうまく取れなくなります。
この仕事はうちの担当ではないと縦割りになりがちだし、これってどっちの部署の仕事だろうお見合いをしている間に後手に回ることだってある。
そんな時に関係部署と調整を行って円滑な業務の取り進めを献身的に行う人がいると非常に心強いです。
スケジュール管理にやることリストの作成。曖昧となっている業務の適切な割り振り。マネジメントに長けた人がいると一気に仕事が進んでいく。
複雑な組織間の壁をうまく乗り越えて全員がWin-Winになるように調整するので仕事もやりやすく無駄な争いもない。
献身的に動いてくれる人がいたらいいのにって誰しも願っていることであるが本当にみんなが幸せになっているのだろうか?
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私は本社部門に初めて配属されたのは10年以上前の事でした。製造から異動してきたこともあり現場の方々が働きやすくなればと熱い思いを抱いていました。
しかし現実は甘くありません。
仕事のやり方が分からない時は上から言われたことを素直に製造関係者に伝えることしかできませんでした。若造が偉そうなこと言ってきやがってと反感を頂かれたこともしばしばあります。
事業環境が厳しかったので、難しいと分かりながらも現場へコストダウンのお願いをしたり、面倒な検討依頼を行う。立場変われば人は変わると揶揄されることもあり一時期は本当に苦しかったです。
苦しい時期を乗り越えて仕事に慣れてくるとルーチンワークはお手の物です。面倒な依頼は事前に現場と擦り合わせてキーパーソンを掴まえておく。
あの部署は製造から言っても言うこと聞かないから本社から言った方が仕事が円滑に進む。
目的を達成するための最短距離を進むために献身的に行動しておりました。
この人に頼めば何とかしてくれると思われるようになると重要な仕事だけでなく誰も受け取らなさそうな社内のペーパレスPJのようなものまで上は気にせず振ってくる。
面倒な仕事って誰かやりませんか?って聞いても無視されるだけなので振りやすい人に振ったほうが楽だから私に言ってくる。
頼られと悪い気がしないので安請け合いして仕事を沢山抱えて残業する。可処分時間なんて考えもせずみんなのためにと信じて一生懸命取り組んでました。
ちゃんとしている人認定されると色んな部署からもこそっと相談が来るようになります。営業の〇〇さんから何も連絡がないので何とかしてもらえませんか?という相談なんて数え切れないくらい受けました。
時には自分の仕事じゃないことも対応していました。ここまでくればお人よしではなくただの社畜。いや、会社の奴隷である。
組織の円滑な運営のためにというきれいごとの歯車の中心に据え付けられてただ回るだけの日々。俺がいないとこの組織は成り立たないぜと思いあがっているので歯車になっている現実を直視しようとしない。
7年も在籍した部署を異動する際には多くの方からありがたいコメントを頂きました。異動直後は苦労しているという声も聞こえてきたけど組織が崩壊するなんて起きるわけがないです。
私一人がいなくたって事業は続きます。事業がある限り残った人たちで何とかするものなのです。
顧客から注文を頂いて製品を作り分析する。合格となった製品を納期通りに届ける。製造業として当たり前の仕事をやっていれば事業は続きます。
私がやっていたことはみんなの仕事を楽にしてあげるために面倒ごとを引き受けて人の何倍もがむしゃらに行動してただけでした。
私自身の成長や仕事の幅を広げることにはなりましたが、周りの社員の成長にはほとんど寄与しませんでした。楽をさせ続けた結果、成長を止めていた可能性だってあります。
収益の向上や業務の改善には寄与できたことはあるけど、属人化業務を増やすことで負の遺産を残しました。
献身的に行動することはやり方を間違えると誰も幸せにならず周りを不幸にしてしまいますので注意が必要です。
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若いうちは献身的に動いて認知されていけば社内の評価も上がります。自ら仕事を取りに行ってチャレンジしていく。失敗してもよくやったと褒められます。
やらない人よりはやる人が重宝される。当たり前のことです。
しかし、会社の決められたルールの手のひらで踊らされているだけでは組織はよくなりません。献身的に動くことでその時の組織は楽になるけど担当が変わってしまうと一からやり直しです。
そのルールが正しいのか?この業務が必要なのか?と疑問を持っていかないと会社にいいように使われてお終いです。
データ入力作業をこれまで10分だったのが私が担当することで5分で出来るようになりました。これって本当に価値があることでしょうか?
このデータ入力作業は無駄なので止めました。データを自動入力できるような仕組みを作りました。今までのやり方を楽にすることを考えていくことが必要です。
会社をよくするために献身的に行動するのはみんなの業務を肩代わりすることではありません。
反対に痛みを伴う行動が必要となります。今までのやり方を変えることはその業務に長く従事されている人にとっては本当に受け入れがたいことなのです。
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現地・現物・現実の三現主義の徹底を忘れてませんか?
業務の話を直接聞きに伺う。仕事の内容や現場の状況を自分の目で見て確認する。
現場の人たちは変化に対して警戒心や反発心を頂いているので決して失礼な態度を取らず尊敬の念を持って相手に接してください。
思い返せば真摯に現場の方々の話を聞きに行ったからこそ製造課にいきなり配属されたばかりの若造に協力してくれたのです。
お前が偉くなっても絶対にさん付けしないぞと酔っぱらって言われてばかりでした。シラフになると早く偉くなれと激励していただいた時は本当に嬉しかったです。
現場の仕事を学び、一緒になって課題を見つけにいく。
流行りに飛びつき、最新の機械を導入して自動化を図りたい気持ちを抑えてください。
周りの信用を失ったり、結果が出ないときの損失も大きいため百害あって一利なしです。
業務の棚卸を行い、見えてきた課題に対して優先順位を付けて小さな改善から行っていくこと。
真の改善までは道のりは長く、時間がかかります。焦らず地道にコツコツと。仲間と一緒に改善に向けて進んでいきましょう。
改善することで会社に利益をもたらす。結果を出して給料も上がる。無駄な時間を削減することで可処分時間を確保できる。
業務改革に向けて今こそ献身的に行動していきましょう。
みんなを幸せにするために
今回もお読みいただきまして誠にありがとうございます。SUNABACO代表のなかまこさんにご紹介いただいたザ・ゴール。漫画版を読んで目からうろこの内容でした。
会社をよりよくしていくために必要なことが多く書かれている名著です。私も何度も読み、試していって身に着けていきたいと思います。
以上、ご安全に!
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献身的に動いていると気づいたら守備範囲がどんどん広くなっていきます。外野を一人で守