
魚屋を辞めて、魚屋をやっている
一生涯、魚屋をやることにしよう!
そう思ったのは一昨年の夏ごろだったか。
現在、定年まで働くことを決めていた魚屋を退職し、なぜか魚のイラストを描いたり、魚グッズを作ったりしている。
「それで何をやられているんですか?」
最近よく聞かれる。
「とにかく魚をやりたくて!」
「魚好きとも出逢いたくて!」
「もっといろんな方法で魚を楽しみたくって!」
「ひとにも魚を楽しんでほしくて!」
「お魚推し人とか、自分で名付けて名乗ってます!」
個々にこんな事をやっているというのは話せるのだけれど、全部話すとまた同じ質問が飛んでくる。
「それで何をやっているんですか?」
何をやっているんでしょう。自分でも訳がわからない。
先日は初めてメナダをおろして食べまして、今度はそれをマンガ化して、あと思うところをnoteで文章にして、帰ったらレシピを更新して、面倒だけどストーリーも編集して、次はTシャツのデザインを書き下ろして…
これが何になるんでしょうか。
全部宙ぶらりん。
貯金は減る一方なり。
頑張っていたつもりだったけど、そして11年働いたけど、あそこは私の居場所ではなかったのだな。すくわれたあみから弾きだされるようにして、私はただ、魚が好きな個人になった。
もう戻ったりはしないと思う。
なりたい人間になると決めた。
いつまで泳いでいられるかは全然わからないけど。
漂いはじめた泥の船を手で叩いて、形成しながら漕いでいる。
そんな混沌。
日々忙しく、ただ生きてるだけで貯金残高が減っていく。
どこまで泳いでいられるだろうか。