中田康雄

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トランプ次期政権の環境政策

トランプ次期政権の環境政策の輪郭が見えてきている。その重点施策は次のとおりだ。 1.      パリ協定からの再離脱が実行される。COP29は先進国からの炭素基金への拠出が少なくとも総額3000億ドルとの決議がなされて閉幕した。米国がパリ協定から再離脱すれば、米国の拠出金がなくなることで炭素基金が細り、発展途上国の環境対策の拡充が遅れることになる。 2.      環境規制が緩和されてバイデン政権の下で進められてきた再生エネルギーへの転換にブレーキがかかり、化石燃料の増産に拍

    • 読書ノート:清原達郎著『わが投資術』(KODANSHA刊)

      清原氏とは何者か 清原氏はタワー投資顧問のファンドマネージャーで、旗艦ファンドK1ファンドを運用して25年、2023年に引退したときには800億円の私財を蓄えるに至った。 もちろん私財構築はK1ファンドへの投資によるところが大きい。ファンドマネジャーは自己資金を自ら投資することで顧客の信用を勝ち得ることができるという哲学がこの成果を支えたと言える。   筆者の経験 私事にわたるが筆者は以前、企業年金基金の理事長を務めていたことがあった。2000年頃の話だ。その基金は設立して間

      • 日本原子力発電株式会社は廃業すべきだ

        原子力規制委員会は日本原電の敦賀2号炉の再稼働を認めない判断を正式に下した。敦賀原発が活断層の上に位置することが決め手となった。 「規制委は敦賀原発2号機について、原子炉の直下に活断層がある可能性を否定できず、新規制基準に適合しないと結論づけた。11年の東日本大震災後に決めた新規制基準では原子炉の真下に活断層がある場合、原発の稼働が認められない」。 この決定に対し原電は、あくまでも再稼働を目指して再申請する構えを示した。活断層の上に原子炉がある原発の再稼働など、今後とも一切認

        • トランプは米国労働者階級を救えるか?

          トランプは米国下層階級の救世主になれるのか? トランプの経済政策は次の四本柱から構成されているように見える。 1.      移民の制限及び不法移民の強制送還 2.      輸入関税の引き上げ 3.      法人税、所得税の減税 4.      ドル安に向けた為替政策そのための金利引き下げ これらの政策を総合的に展開して達成すべき目的は次のとおりだ。 1.      米国製造業の復活 2.      労働者階級の賃金上昇による所得拡大 3.      消費拡大による継続的