ナナメの就活体験記:映像篇(前半) -就活のまな板に載せられる「わたし」 と「すき」-
※サムネ
みなさんお久しぶりです。ここ一年位いろーんな言い訳があってサボっていました。お元気でしょうか。2024の夏は全ッ然終わってくれなくて、居座るOBみたいな嫌悪感ありますよね。かと思えばすでに秋が「え?もう秋ですけど?」みたいな顔で構えてて、おまえらほんと謙虚さを学べみたいな。
私は前回書いて以来、バイトや就活や卒論などに苦しんでいました。ですが、ここ3カ月ぐらいようやくいろいろ落ち着いてきて、気づけばもう9月も終わりかけ。ふと気づくともう内定式が迫っている…そして後輩が就活を始めている…ということで、折角だし就活を通して自分が感じたことや考えたことまとめてみようかなーと思い、今回の記事に至りました。
就活終わった方は懐かしいなー、つらかったなーという気持ちで、
今からだよっていう人はこんなこと考えながら就活してた人もいるのねぐらいのスタンスで読んでいただければなと思います。
それでは、張り切ってどうぞ!
私の就活の概要 はじめと結果
まずは自分の就活のついて簡単にご紹介したいと思います。自分は地方県立大学の国際系(人文科学に近い)学部に通っています。ほんで、詳しくは後述しますが、大学3年の12月~就活を始めて、合計で10社くらい受けて、半分くらい落ちて残りは辞退しました。そんな中、5月の中旬くらいに運よく一社から内定をいただいて、そこに決定し就活終了した感じになります。
業界はと言いますと、後述しますが「映像制作」に業界を絞って進めていきました。なので、タイトルで映像篇とかほざいてますが、映像篇以外ありません笑。ほぼ映像会社しか受けていません。内定をいただいた会社も映像会社です。具体的にはCM制作がメインでwebムービーやMVなども作ってる感じです。結局その会社にお世話になることを決め、入社承諾書にサインし私の新卒就活は幕を閉じました。
そもそも就活を始めた経緯
冒頭を読んで就活始めたの12月ってちょっとおそくね?と思ったあなた、
正解です。
ここからは映像業界で就活するに至った経緯を少し詳しくお話します。
昔からエンタメ(音楽・ドラマ・映画・マンガ等々)全般が好きで、それらに救われてきたし、ちょっとばかり執筆やグラフィックをかじったりしてて楽しかったから、なんとなくエンタメを作る側に進もうと考えてました。それでグラフィックデザインやライティング/出版は専門性が高くて、やはり勝負できないし、そこで勝負したいともあまり思わなかった私は、表現の幅と仕事の広さから映像に行きつきました。具体的には常田さん率いるmillenium parade のosrinや佐々木集の映像、その他いろんなMVなんかを見て映像の可能性に惹かれたってのもあります。
↓影響を受けた映像たち
で、じゃあそのために何をしたかっていうと、何もしてません笑。
というか何もできませんでした。映像に進みたいって思い始めたのは3年の夏くらいだったんですけど、そこから就活まではだいぶ間がありました。
私は、当時4月に留学から帰ってきて、5月~10月くらいまでは日本を存分に楽しむとか抜かしてプラプラしてた身でした。それでいて、将来はどうにかして東京のどっかのスタジオに潜り込もうとか考えてた、甘え倒したふとどき者でござんした。
ですが、時期が迫ってくるううち、おいおい理想主義にもほどがあるだろと、お前留学で借金背負ってんだろと、いろいろ思いなおして就活を始めるに至たったわけです。それで本格的に就活始めたのが1月とかだったので、当然夏インターンとかも募集終わってましたし、冬のやつもぎりぎり間に合いませんでした。インターンゼロです。完全に怠惰ですね。
ともあれ何とか就活を始めたわけですが、世間知らずな学生を待ち受けていたのは、厳しい社会の壁たち。ここからは「就活あるある」みたいなテンションで読み進めてみてください。
「映像が好き」だからです!←なんで??←え???
どの企業を受けても必ずぶち当たる壁、志望理由。
「映像業界を志望する理由は??」
特にこの質問に対してのはじめの困惑はすごかった。
「映像が好きだから」じゃダメ…??。
就活を始めた時、最初に抱いた疑問がこれです。そりゃ今考えれば企業側としては、就活生が自分が働く職種と業務内容とかの解像度を理解しているかとか、志望するようになった動機(原体験なんか言われたりするやつ)が自社のスタイルとかにマッチしてるか、とかいろいろあるんでしょう。
でも12月とかから就活始めた私にとって、好きなことを無理やり言語化して意味付けする(後に話すが多分この考えはそもそも視座がずれてた)違和感が大きかった。好きなことで働いてお金もらいたいからです!が正直な回答だったんですが、残念ながら就活はそれを許してくれません。
「なんで映像を好きになったの?」
「映像以外じゃダメなの?」
「CMじゃなくて他の映像でもいいよね?」
こんな質問でどんどんHP(ヒットポイント)を削られていきます
映像学科でもなく、専門学校にも通った経歴もない僕は、ただただ体感的な理由に何とか論理風味をつけて並べたのですが、言葉にしようとすればするほど、やっぱりなんか嘘っぽさがありました。
また、この「なんで?」は、自身の行動に対しても説明を求めてきます。
「なんで留学いったの?」
「なんで遠い四国から関東きたの??」
「なんでその学問を選んだの??」
いやわかる、わかるけど、
すべての行動に明確な動機があるわけじゃないでしょ!??と、
思わず叫びたくなるような質問攻め。みなさんも経験あるのではないでしょーか。人間の行動なんてその時の環境や影響受けたもの、ノリとかがいろいろ合わさってできてるもんやろ…いやそれを客観的にとらえるのは大事だけど…というやるせなさに襲われましたね。
ともあれ話を戻して、この「好きの理由」「業界を選ぶ理由」。それだけならまだどうとでもごまかしがききました。実際映像(特にMV)は好きでしたし、作品についても色々考えを巡らすことも好きでしたから。ですが、この次のステージが最も恐ろしく、ミナト青年を痛めつけました。
それが「肩書き」の壁です。
作る側にもいろいろあって: 「肩書き」に向かって身を削る
僕は、ミレパの佐々木集みたいな映像に関して企画も考えるし脚本も書くし演出もディレクションしていくみたいな、わりと何でもやるみたいな働き方に憧れて映像を目指すに至ったのですが、未経験新卒採用でそれが通用するはずがありません。
一言に映像(ここではCM)を「つくる」と言っても色々あって、様々な肩書きがありました。
まず、CMの0→1的な企画とキービジュアルを考えるCMプランナー(これは広告代理店)、その広告代理店の企画発注を受け手制作チームを組み、管理するプロデューサー(P)1→100にする演出を考え、現場で実際にチームと共に映像を作り上げていくディレクター(D)。照明さん、美術さん(これはプロダクション外)など制作スタッフをまとめて予算・スケジュール管理などサポート・進行していくプロダクションマネージャー(PM)
当たり前ですがちゃんとした会社では仕事は様々に分業されていて、その肩書ごとに採用窓口が変わり、志望理由も変わる(変えざるを得ない)わけです。
・「企画」と「演出」の分岐点
映像には大きく分けて「企画」と「演出」があります。
目的のためにどんな映像を作るか?キービジュアルをどうするか?などを考えるのが企画で、実際に細かいカットや俳優がどんな演技をするか、カラーリングはどうのこうのを考えていくのが演出で(たぶん)、一般的な監督がこの職にあたります。
そもそもで言うと、私は前述した通り映像を一から、シナリオやキャスティング、画コンテの段階から作って演出までしたかったわけです。ですが、前述のとおり特にCMの世界では※企画と演出の商業的な時系列もあって、(映画やドラマにくらべ)かなり分業的でした。しいて言うならディレクター職で、フリーランスともなるとそういう働き方ができる感じです。
ですが正直、未経験でかつ自主的に映像をバンバン作ってきたわけでもない僕にとって監督職はやはり(新卒の段階では)勝負できる舞台ではないと思ったわけです。
そこで、企画にいこう!!と思った私は、「企画から関わります!」という歌い文句で飾られたプロデューサー職を目指すことに。しかし、ここにも無知ゆえの落とし穴がありました。
※時系列について詳しくはここ参照
・「企画」のトラップ
先ほども少し触れましたが、本当に0からアイデアを立案する、
つまり「企てる」のは広告代理店(H報堂とかD通)のプランナーであり、プロデューサーは、実行の計「画」を立てる人のことで、業務内容は営業、予算交渉やスタッフィング、スケジューリングなんかがほとんどと聞きました。僕の思い描いていた「企画」ははるか遠くにあったというわけです。
・「制作」のトラップ
さて、映像会社がほとんどの新卒を募集している部署が「制作部」です。
皆さんに少しお聞きしたいです。
さて、この募集の制作部とはだれを差すでしょう?
答えはPM(プロダクションマネージャー)です。
…いや制作進行管理部やないかい!
思わずツッコミ。まあ勝手に監督やカメラマンさんみたいに実際に映像を作るのを「制作」と思いこんでいた僕が悪いんですけどね、
ともあれ、このPMという職が今回僕が内定をいただけた職です。業務内容はまあ、簡単に言えばテレビのADさんみたいなもので、出世先としてはプロデューサーがあります。そしてこれはある種仕方ありませんが、映像業界なのでブラックな面もあります笑。
とまあなんやかんやあって結局肩書としてはPM、将来的にはプロデューサー志望として選考を受けるわけですが、ここまで話してきた通り、自分が真にやりたいこととは少し離れてしまった職種となりました。
結局就活の苦しさのほとんどはここのギャップだった気がします。
大前提僕の実力不足が原因なのですが、やはり本当に好きなことと少しずれた仕事について、その魅力や志望を説明するのは、型の違う車で無理くり走っているようでしんどかったです。
なにより、この肩書きがすでに決められていて、その型にはめ込むように自分自身を削らなければいけないのがしんどかった。
しかも厄介なのが、その無理くり考えた/取り繕った志望動機を話すうち、それが自分の本音なんだと思い込んでしまう、内面化してしまうこと。
これのおかげで就活後、自分は創作への情熱をどこか遠ざけてしまいました。しかし、この創作への情熱と実際の志望職種とのギャップが最後に話す内容、「好き」と仕事とどう向き合うか?という大切な問いを運んでくれました。
しかし、その話の前に、ここまでの話を踏まえ、
ミナト青年を苦しめていた「好きな理由」や「肩書き」の背後に裏ボスとして潜んでいた、就活のあの現象の話をしたいと思います。
と、ここまでで少し長くなりすぎてしまったので、残りは後半に譲りたいと思います!
後半は
・ビジネスのまな板に載せられる「わたし」
~自分を説明するということ~
・「社会人」の大河に入るまえに。
・自分が枯れないように
の三本仕立てで行こうと思います。ここまでだらだら話したけど、結局ミナト青年が就活の旅で持ち帰ったものって何だったんだろうってこと、また働きだしてからのことについてもすこし話して締めてるので、ぜひぜひ読んであげて下さい!それでは後半で!
後半→