明け方
カラオケオールって、大学生の特権だと思う。
大学2〜3年の頃は毎週のようにしていた気がするが、もう体力がないのか、最近は1時2時には眠くなるので行けていない。
でも先日、久しぶりにカラオケでお酒を飲みながら、朝まで歌った。
その飲み会で、かっこいい音楽を聴いて歌う彼に、また会うことができた。(下記のnoteに書いた彼です、是非)
1年以上ぶりに会った彼は、ちゃんと私の好きな彼のままだった。
場を盛り上げようとしてくれる。
私にも、私の友達にも、分け隔てなく話しかけてくれる。
歌が相変わらず上手くて声が良い。
着ていた洋服までかわいい。
私は、ちゃんと彼を好きなままだった。
彼と付き合って別れたあとから同窓会で再会するまでの数年、彼以外とも恋愛をしてきた。
毎回私が相手に対する好きという気持ちが薄れていき、すぐに別れてしまっていた。
でも、彼のことは違った。何年経っても好きだった。
時間はかなり経っているのに、変わらないことってあるんだと実感した。
私と彼がカラオケの部屋の中で、2人きりになる時間があった。
彼は周りに人がいないからか、私に甘えてきた。
私の太ももの上で寝てみたり、私の肩に寄りかかってみたり、私のほっぺを両手で触ってみたり。
そんなことされたら、また好きになってしまう。
また彼女にしてほしいと思ってしまう。
愛の言葉を求めてしまう。
だめだめ、と思う度に好きが増す気がした。
私たちは手を繋ぎながら、当たり障りのない会話をした。共通の友達のこととか、就活のこととか、学校のこととか。合間に、彼がかっこよくて素敵な曲を、良い声で歌った。私が彼にリクエストしたback numberの『はなびら』も快く歌ってくれた。
めちゃくちゃによかった。
歌詞も相まって、泣きそうになった。
私に向けて歌ってる???と自意識過剰になりそうだった。『君ともう一回出会ってもう一回恋したい』って言われたかったな。
彼はカネコアヤノが好きだった。
だから、私はカネコアヤノの『明け方』という曲を歌った。
彼は「カネコアヤノをカラオケで歌う人初めて会った」と言った。え、だめだったかな?と思って恐る恐る彼の顔を見た。とっても嬉しそうな顔だった。安心した。
好きな音楽の共有は楽しかった。
彼が良いと言う曲は本当に全部良いし、私が良いと言った曲を彼はダウンロードして聴いてくれる。
価値観が合うって、こういうことなのかな。
彼に会うと、また付き合えないかな、私のことをまた好きになってくれないかな、と考えてしまう。
彼は優しい人だから、みんなに優しくて、私はその「みんな」の中の1人に過ぎないのに。
彼は復縁なんて望んでいない。
私の愛が重過ぎて別れたんだった、と冷静になる。
彼の良いところしか見ていないから、良いところだけを見られる今の関係が良いのかもしれない。
そう思うことにした。
2人は手を繋いで駅に向かった。
彼は私の家まで送ってくれた。遠いのに。
また会おうね、なんて言ったけど連絡は取らない。
結局、気まぐれで会えたらいいね、という仲なのだ。
夜はもう明けて、朝焼けを見た。
駅に向かう途中に見たオレンジ色の空を綺麗だね、と言い合った。
この時間を忘れないでいたい。
また彼と気まぐれで会いたい。
今と同じ温度で、また好きになりたい。