「できない」と言われたらどうするか?
全体最適の行政マネジメント研究会 行政課題解決セミナーレポート
2024年3月4日 オンライン開催
ワークショップレポート
今回のワークショップでは、参加者から行政課題を募集し、ワークショップを実施しました。
行政課題 要介護認定に関する自治体業務等のデジタル完結
国のデジタル行財政改革に「要介護認定に関する自治体業務等のデジタル完結」を明文化するなど、要介護認定審査業務においてもデジタル化が進められる中で、現場では紙の資料が使われており、大きなギャップがあるんです・・・
というお悩みでした。
(岸良)まずは問題を定義していきましょう。どんな問題がありますか?
ワークショップが始まりました。岸良さんのファシリテートのもと、相談者は悩みを自由に喋り、そのまま文章にしていきます。
(岸良)自分の喋ったことが文字になると、どうですか?実は、相手の言われたことをそのまま書くというのは、ものすごく意味があるんです。自分の考えが整理されるし、読み上げて「これがあなたの言いたいことですか?こういう問題を解決したいんですね?」と確認することで、信頼関係を築くことにもなる。
この行政課題には大きな欠陥があります。世の中で蔓延している「手段が目的になっている」という病気。「もっとテクノロジーを」、「もっと予算を」という7つの誘惑にどっぷりはまって、仕事が増えている。デジタル化することで本当に現場は助かるのでしょうか?
このように、手段が目的化している時の第一ステップは、相手の言われたことをそのまま書くこと。第二ステップは「この取組でどんな問題を解決しようと思っているのか?」と質問する。ゴールを質問しても良いが、答えるのは難しい。なぜならば、ゴールはまだ実現していないことなので、言葉にするのが難しい。それと比較して、問題を出してもらうことの方ができる。なぜならば、日々直面していることだからです。
第三ステップは、「どういう状況にしたらいいのか?」の質問で問題をひっくり返して望ましい状況にする。
【ポイント】
・「~なので」というのが出てきたら要注意。その因果関係は間違っている可能性が高い。なぜならば、その因果関係が合っていれば、とっくに解決できている。
・ある症状があると、直ぐに手段で対処したくなる。これが対処療法。
・プラスの方がみんなで考えられる。マイナスは現場を知っている方ができる。プラスは、みんなで協力することができる。
参加者の方々の知恵を集結して、問題から望ましい状況にひっくり返していきます。最後は望ましい状況を一言で表現しました。
介護認定が時間がかからずにスムーズにできる
デジタルは手段。「こうなりたい」というゴールが表現でき、相談者にも笑みがこぼれます。
(岸良)初めから手段を言うのは、抵抗勢力を増やすだけ。
望ましくない状況を出してもらって、ひっくり返して望ましい状況を出してもらう。このひと手間をかけるだけで、問題解決が進みます。デジタル化の必要性はスケーラビリティを上げるためである。
今回の学び
「手段の目的化」に気を付けることは、研究会でも何度も言われていることだが、手段にどうしても流されてしまう。ある症状に、直ぐに手段で対処したくなるのが、人間の性質のようなところもあるようである。手段の誘惑に惑わされず、常に目的を考えられるようになるのは難しく、思い込みのない第三者にチェックいただくことが有効だなと実感した。
講師・ファシリテーター
株式会社Goldratt Japan CEO。全体最適のマネジメントサイエンスであるTOC(Theory Of Constraint:制約理論) をあらゆる産業界、行政改革で実践。最先端のTOC知識体系の、「楽しく」、「わかりやすく」、「実践的」な講義と、参加者をワークに集中させるファシリテーションから、たくさんの学びが得られると大好評である。
全体最適の行政マネジメント研究会
全体最適のマネジメント理論TOC(制約理論)を活用し、「お金を使わず 知恵を使って」を合言葉に、行政、民間の参加者が垣根を越えて、日本をよくするために知恵を出し合い、問題解決に取り組むNPO法人。そのセミナーは、身近な行政課題を題材に、TOCを実践的に学べる場となっている。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?