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「名作に挑む勇気」・・・リメイクも才能ある監督が作れば。


映画「ウエストサイドストーリー」は、ご存じの通り、1961年の、ロバート・ワイズとジェローム・ロビンズ監督によるミュージカル映画の歴史に残る名作のリメイクである。

リメイク版の監督も歴史に残る名監督スティーブン・スピルバーグ。

元々はブロードウエイミュージカルだから、正確にはミュージカルの二度目の映画化となる。

内容は勿論、実際に鑑賞して頂きたいが、レナード・バーンスタインの音楽は、多少のアレンジはあるが、ほぼそのまま使われ、旧作のファンも満足させてくれる。

当初、この作品の予告編を見た時、とても心配になった。

名作のリメイクは失敗することが多く、失敗すると、元の作品の評価まで貶める可能性がるからだ。

邦画でも世界的な監督の作品のリメイクなどで、止めときゃ良いのに、と劇場から早く出たい気分になったことが何度かある。

「ウエストサイドストーリー」は、コロナによる公開延期を挟んで、ようやく公開された。そして映画は、その心配を吹き飛ばした。

オリジナル以上に丁寧に描かれた、ニューヨークのウエストサイドの風景。切れのあるダンス、見事な歌唱力。映画としての演出。美しく力のある映像。すぐれた映画監督が作ると、リメイクも全く新しく楽しめる作品になるのだと思った。

その証拠に、以前別のリメイク作品を観た後には、必ず元のオリジナル版の映画を観たくなり、DVDで見直したのだが、今回はそうならなかった。たった今観た映画の余韻に浸っていたかったのである。

私は1961年の映画からこのウエストサイドストーリーという作品に触れ、ファンになった。ミュージカル自体、この映画が初めてだった。

もちろん子供の頃なので、劇場ではなくテレビ放送が最初だった。

大竹しのぶ+国広富之という吹き替えのキャストで、歌はオリジナルのままだった。それでも映画を観て初めて泣いた。忘れられない映画である。

その後も、リバイバル公開されていた字幕版を劇場で観直し、来日したブロードウエイミュージカルや、バーンスタインの直弟子である佐渡裕によるシネマコンサート。360度シアターでの公演など機会があるごとに観てきた。

それらの経験では、やはりどうしても、最初に観た1961年の映画版と、曲の順番や内容を比較してしまう。(ミュージカルの舞台の方がオリジナルなのに)

今回の映画も同様に、比較してしまうのは仕方ない事だろうが、別の映画として楽しめるのも確かなのだ。

気になる演出や構成が無いわけではないが、そんなことよりも、ミュージカルや映画を含めて、このウエストサイドストーリーという作品自体を好きなのだと改めて思った。

そこで、もし人生で初めて観るウエストサイドが、このリメイク版だったら観客はどう感じるのだろうと、気になった。

すると、ちょうど劇場から出てきた女子高生たちが、映画の感想を言い合っているのに出くわし、聞き耳を立てた。

「歌が最高」「こういうダンスも好き」「映像が奇麗」と概ね好評だったのでほっとした。

しかし、一人の女の子が最後に呟いた言葉が印象的だった。

「トニーはやっぱり、一目ぼれするほどの男じゃないとね・・・」

恋に多感な女子高生の審美眼は実に厳しい。

現在公開中。是非。


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