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玉堂デスヨ。

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癒しの日常と、気がついたあの事。人生が豊かになる一瞬。 怪談、恋愛以外の作品も。
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2022年10月の記事一覧

「最後のライバル」・・・平和なショートショート。誰と戦うのか。

「昔、『センセイと呼ばれるほどの馬鹿でなし』って言葉があっただろう」 俺はテーブルの向かい側でお茶を飲んでいる妻に言った。 「うん。裸の王様みたいなやつでしょ。おだてられていい気になっているほど、周りから馬鹿にされていることに気付かない人」 「そう。俺たちの若い頃はさ、どんなに権威のある人でも、表面上は持ち上げても内心はバカにしているのが標準だったと思わないか。 そんな事は政治の世界や教師と生徒など、当たり前に日常にあった。ドラマや映画でも、そのような裏表のある人間関係

「人生最後の瞬間」・・・怪談。オークションで落札したコンパクトで見たものは。

怪談作家の俺が、そのコンパクトを見つけたのは、とあるネットオークションのサイトだった。 一見何の変哲もないコンパクト、蓋の裏側に鏡が付いていて、化粧パフが中にある。 それが気になったのは、その説明文を読んだからだ。 説明文には、「コンパクトを開くと、自分が死ぬ瞬間に見る光景が見られます。本当かどうかはともかく、私は恐ろしくて一度見たら売りに出したくなりました。それでもお買いになりたい勇気のある方はどうぞ」と書かれている。 とても信じられないのだが、これまでにも入札して買う

「未来通貨」・・・R怪談。新しい通貨の概念は画期的なものだったが。

20XX年。全世界的に普及した電子通貨に続いて、またも新しい通貨が誕生した。 この通貨「EX(エクス)」は、人間の脳に発生する脳波信号を電子情報として取り出し、POSシステムに似た清算システムで流通網に乗せる者である。 開発者の説明によると、物事の売り買いや体験を、自分の感情で支払うというものらしい。 具体的には、その商品や体験で得られる快感をセンサーが読み取り、その快感の度合いに応じて、メーカーやイベント開発者に 同じだけの快感を転送するというものだ。 レートの参考に

「寒い日にほっとする自販機」・・・ようやくホットが出始めた。

冬になると自動販売機のメニューにもホットが出てくる。 スープやホットレモンなども良い。 以前紹介した「カレー」も「カレースープ」として冬バージョンになっている。 その中でも一番のお気に入りは、何と言っても「おしるこ」である。 見つけると、すぐに飲まないでも、つい買ってしまう。 ただでさえ冬場は荷物が増えるのに、さらに重くなってしまうのだ。 それでも止められない。 早速秋葉原で、見つけた。 甘酒が大量に並ぶ中に、「おしるこ」を発見。 あれ?・・・何かおかしい。 ボタ

「大根ネコ」・・・皿の上に居座っている可愛さ。

さんまの横に、ちょこんと座っている。 茶色のブチが可愛くて、食べるのが勿体ない。 最近流行だという、大根おろしアートというほどの ものでも無いだろうが。 食卓に華を添えていた、嬉しい。 #猫 #大根おろし #アート #大根猫 #さんま #食卓 #不思議 #謎 #ご飯 #秋

神楽坂 トンボロ 「森章二の素読みの会」第3回 。一か月を切りました。

準備をひたすら続けています。 時代を感じさせる神楽坂の喫茶「トンボロ」で、 ベテラン俳優・森章二さんが語る江戸文化のお話と 神楽坂を舞台にした物語の朗読。 原稿を練り込み、先日は読み合わせを行いました。 様々な問題点が出てきて、修正を行いました。 本番までにもう少し調整していきます。 今回も興味深い森章二さんの江戸話。 そして、今回の朗読は、「邪念アリ〼(ます)」。 神楽坂下の交番所に出頭してきた男が語る不思議な告白。 男と女房の上に起こったあやしい出来事とは? そして

「歴史の一ページが・・・」紀の善閉店

飯田橋から道路を渡り、神楽坂坂下の交差点にある甘味処「紀の善」が9月30日に閉店した。 残念だ。 「紀の善」は、今から160年以上前に創業されたと言われる老舗。 元々は寿司店だったらしいが、1984年に甘味処になった。 江戸時代には参勤交代の人足集めなどを仕切っていたという。 看板商品の「抹茶ババロア」や夏場のかき氷などで人気だった。 私も以前かき氷を食べに行ったことがあるが、落ち着いた店内が大繁盛であったのを覚えている。 閉店の理由は、店主の高齢化などだと言う。

「理解できない」・・・超ショート怪談よ~くその場面を想像してみて。ショートショートよりももっと短い怪談。

「事故でいきなり浮遊霊になると 自分が死んだことを理解できないんだって。怖いね」 毎晩のように俺の部屋に現れ、同じことを語りかけてくる彼女の頭は、 半分欠けて亡くなっている。 もう許してくれ。明日自首するから・・・。                 おわり 超ショート再録 #朗読 #幽霊 #怪談 #短編 #彼女 #ショート #不思議 #小説 #浮遊霊 #怖い #秘密 #自首 #美人 #恐怖 #考えると怖い #同棲

「四角い猫」・・・どうしてこうなっちゃうかね。

少し気温が下がって来た。 夜などはとても冷たく感じる時がある。 それにしても、こんなところに、こんな形で入らなくても良いじゃないか。 君のおかげで、ゴミが捨てられないんだよ。 朝までには別の所に行ってね・・・あ、でも別の箱はダメよ。 それは「燃えない」の箱だから。 布団でも階段下でも良いわよ。おやすみなさい。 おわり #猫 #箱 #入る #可愛い #不思議 #謎 #冬 #寒い #四角くなる#猫は水で出来ている

「ご挨拶」・・・ホラーなひと時。後ろの正面だあれ?

「○○銀行からご挨拶に伺いました」 インターフォンから聞き覚えの無い声が聞こえてきたのは、 午後2時過ぎだった。 「今度転勤になりまして今の支店から離れますので・・・」 とカメラ越しに話す男の顔に見覚えは無かった。 だが、流ちょうに話す言葉によどみは無く、 見た目と声の印象では、とても信用できそうな良い人に見えた。 本当に挨拶をしに来ているようだ。 しかし、私は結局ドアを開けなかった。 インターフォンを鳴らしている男の肩越しに見える、もう一人の男が、我が家の品定めを

「気持ちの良い買い物」・・・大事なのは伝統だけじゃないよね。

お酒の量販店に行ったら、珍しい「輸入ノンアルビール」があった。 気になる。 ただ「6本セット売り」しか残っていないようなので、 もし不味かった時に余らせてしまうのはもったいない。 しばらく眺めていたが、とりあえず他の冷蔵コーナーなどにないか見てみる事にした。 店内のありそうな棚を一通り回ったが、どうやら「バラ売り」は無く、先ほどの「6本セット売り」しか残っていないようだった。 「一応店内在庫があるかレジで聞いてみるか」と思ったが、 躊躇した。 酒飲みが集まるお酒の量販

「憑依思念」・・・ラヂオつくばバージョン

火曜日にラヂオつくばで放送された朗読作品に、少し手を入れたものです。 しばらくの間公開します。お楽しみください。 「憑依思念・伝わる心」 夢乃玉堂 ディナーはフランス料理。ワインも奮発してた。 食後の散歩は夜景の美しい海岸の公園だ。 「いよいよかな」 森野鈴音(すずね)の心は期待に満ちていた。 横にいる市川雄太とは付き合いだして半年だが、まだ手を握る程度。 彼が配偶者に求める最大の条件が処女性であることを鈴音は最初のデートで知った。以来、彼女も純潔というイメージを壊

「語らぬヒト型と語りとのジョイント」・・・セッション由也+語り。途切れぬ挑戦。

人形遣いの山本由也氏をご存じだろうか。 かわせみ座という人形劇団の主宰でもあり、カリスマ的な人形作家でもある。 由也氏が作り操るのは、ただのマリオネットではない。 独自の操演法を使い、豊かな表情と動きを生み出していく。 その手で動かすのは人型をした人形だけではなく、時には一枚の羽であり、得体のしれない黒い塊だったりする。 その由也氏は、毎年様々なアーチストとのセッションを行っている。 主に音楽家歌手演奏家など音楽関係が多いのだが、今回は、語りを生業としている人を絡めての公

「本日、ラヂオつくばで朗読アリマス」・・・お楽しみに。

毎度おなじみ。 17時からは、全国で聞ける、ラヂオつくばの「つくば You've got 84.2(発信chu)!(つくば ゆうがたはっしんちゅう)」。 毎月第三火曜日は、 MC小村悦子さんの、月に一度の「朗読コーナー」。 番組は17時から。朗読コーナーは17時30分か45分くらいからの予定。 皆さんも是非お楽しみください。 今回は、男と女の恋と恨みのお話。ちょっと不思議なお話です。 ラヂオつくばは、つくば近辺以外にお住まいの方も、 インターネット放送でお聞きいただけま