「語らぬヒト型と語りとのジョイント」・・・セッション由也+語り。途切れぬ挑戦。
人形遣いの山本由也氏をご存じだろうか。
かわせみ座という人形劇団の主宰でもあり、カリスマ的な人形作家でもある。
由也氏が作り操るのは、ただのマリオネットではない。
独自の操演法を使い、豊かな表情と動きを生み出していく。
その手で動かすのは人型をした人形だけではなく、時には一枚の羽であり、得体のしれない黒い塊だったりする。
その由也氏は、毎年様々なアーチストとのセッションを行っている。
主に音楽家歌手演奏家など音楽関係が多いのだが、今回は、語りを生業としている人を絡めての公演だ。
初日には、声優の真山亜子さんと三味線奏者の伊藤ケイスケ氏、太鼓奏者のシンゴ氏が登壇。脚本は水墨画家で作家でもある岡田潤さんが務めた。
物語は、河童と人間との交流を描き、とても優しい語り口でありながら、時に力強く、時にそっと心に寄り添って来る。
特に冒頭。亜子さんのセリフと、由也氏が操る人形とのせめぎ合いが圧巻であった。亜子さんがセリフで、これでもかと感情を乗せていくと、その言葉に負けじと人形の動きや表情に心の動きを乗せていく。
まさしく言葉によるセッションであると思った。
ステージが進むにつれ、伊藤ケイスケ氏の繊細な三味線の音色や、シンゴ氏の勇壮な太鼓の響きとも、人形たちはセッションを繰り広げる。
由也氏の人形は、物語の中で、まさに舞うように踊り、演技を紡いでいく。
物語を作った岡田潤さんは、何度も由也氏と話し合い、イメージを共有していったという。ぶつかったことも多かったであろう。その努力の積み重ねが舞台上に溢れていた。
今回の「セッション由也+語り」は、22日まで日替わりで語り手や演奏者が変わるという贅沢なステージだ。まだ由也氏のマリオネットをご覧になっていない方は、是非一度ご覧になって欲しい。
新宿プーク人形劇場にて、22日土曜日まで。
蛇足であるが、このプーク人形劇場、劇場だけでも楽しめる。劇場としての機能の高さは勿論。様々な場所に人形がいて観客を和ませてくれる。
それらを探してみるのも良いかもしれない。
例えば、下記の写真の人形は、見逃しがちな場所にこっそりといるのだが・・・果たして。
おわり
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