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玉堂デスヨ。

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癒しの日常と、気がついたあの事。人生が豊かになる一瞬。 怪談、恋愛以外の作品も。
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2022年2月の記事一覧

「ラッキーナンバー」・・・幸運を求める先には。

『ラッキーナンバー』 ショッピングセンターで妻を待つ間、どういう風の吹きまわしか、占いの看板が気になり、全く期待もせず占い師の前に座った。 怪しげな老女が、トランプを紫のテーブルクロスの上に並べ、一枚めくるように言った。 俺がめくったカードは、ダイヤの7だった。 「あんた。今日のラッキーナンバーは、7 だね」 俺はその言葉を信じることにした。 なぜなら今日は7月7日。オヤジの誕生日だ。オヤジはいつも自分の誕生日になると、「今日は幸運の日だ、7は幸運の数字なんだぞ」と

「病院の怪談」・・・ガチャガチャな話。

私は、小型のフィギュアを集めるのが趣味だ。 特に何が出てくるのか分からない ガチャガチャと呼ばれる販売機で購入することにハマっている。 最近のガチャガチャは、非常に種類が豊富で 懐かしいヒーローものは勿論、地方の土産物、駅弁、 動物が楽器を弾いているミニチュアなどもある。 それらが皆、アイデアが良くて楽しめる。 「いい年をして、いくつ並べるつもりなのよ」 と女房には責められるが、バカ高いブランドの高級スーツや腕時計に 浪費する事を思えば可愛いものである。 それでも、

「奇跡はどこまで」・・・最後の最後まで分からない。

これまで、奇跡のような回復ぶりをこのnoteにも何度か 書かせて頂いた先輩Aさん。 若いうちから、本当にお世話になっていた先輩である。 Aさんは、一昨年脳出血のため自宅で倒れ、 そのまま入院したが、寝たきりで意識混濁の状態が続いていた。 コロナ禍で簡単には見舞に行けず、 言ってもコミュニケーションが取れない状態で、 苦しい気持ちで帰って行ったことを思い出す。 それでも昨年10月には、奇跡的な回復を見せ、 希望の光が微かに見えてきたと思っていたのに。 昨年末、自粛解除に

「姉の墓」・・・ホラー。墓石に刻まれたものは。

『姉の墓』 祖父の十三回忌で菩提寺にお参りした帰り、 お墓に手を合わせている宇江原信一(仮名)を見かけた。 「宇江原じゃないか」 「え? あ、ああ。佐野か・・・」 一週間ぶりに会った宇江原は、営業部のエースとは思えない 暗い挨拶を返してきた。 まるで浮気現場でも見つかったように ばつの悪そうな顔をしている。 俺は思わず周りを見廻したが、合わせるとまずそうな女の姿は勿論、 誰かを連れているようでも無かった。 「一人か?」 「ああ。そ、そうだ」 どうにも煮え切ら

「Sneaker X」・・・スニーカー型PC。発売したら飛びつきそう。

スニーカー型のパソコンが台湾のメーカーから発表されたらしい。 価格、発売時期などは未定らしいが、すでに注目が集まっている。 かつてのiMacやスマホを考えれば、分かると思るが、 そもそもパソコンは、記憶装置(HDDなど)と電源、 そして周辺機器への接続端子(USBやVGAなど)があれば 機能するので、四角い箱でなくても良い。 以前、日本でも、5センチ角のコンピューターが開発されたが 日本らしく小型化だけで、スニーカーの形状を流用するというような 発想はあまり無かった。 5

「女子寮」・・・怪談。男子禁制のマンションで起こった事は。(改訂)。

『女子寮』 最寄駅からバスで10分という少し不便なところに、 大学の女子寮として一棟借りされていた三階建てのマンションがあった。 ウナギの寝床のようなワンルームの部屋が各階4戸ずつ、 家賃は格安だが、数年前までお嬢様女子大だった伝統が残っていて、 男子禁制であった。 「暗いな。この廊下」 「シッ。静かにしてよ。誰かに聞かれたらマズいでしょ」 声を潜ませて階段を上って来たのは、 3日前に付き合い始めたばかりの広子と真人だった。 昼間のデートで盛り上がった二人は、 日

「体調を改善する方法」・・・私はこれです。

体調不良の時、私は好きな本を枕元に置いて、好きなDVDをかけてひたすら眠ります。 これ、新しい作品はダメで さんざん見返した物、子供の頃に読んだ物が良い。 私の場合は、ウルトラマンのコミックスとDVD、映画「アンドロメダ・・・」の日本語吹き替え版などである。 初めて出会った時の気持ちが アドレナリンを分泌させるのかもしれない。 世界的にもそういう研究結果があるというから、安心して、オタクな本とDVDを用意して、ミカン缶をつまむ事にしよう。 好きな物を身近に置くというの

鏡。

久しぶりの体調不良。 良くなって来ているけど 油断は禁物。 時々、こんな事が起こる。 悪い魔女も 毒リンゴも見かけなかったのに。 という訳で、 鏡とりんごのお話を再録です。 「鏡よ鏡・・・」 作・夢乃玉堂 「一番美しいのは白雪姫です」 「なんだって?」 「一番美しいのは白雪・・・」 「ああん? 誰だとうぉ」 「い、一番美しいのは・・・」 お妃は、手にした金槌で鏡を指さした。 「美しいのはぁ?」 「お妃さまです・・・」 「ほう。そうかい。正直な鏡だね」 お妃が嬉し

「火消し魔」・・・ 妖怪考現学。今も生き続ける妖怪たちの生態。

「今朝の連続ドラマ見た? 美鈴子の泣きの演技、すごかったね。 思わず引き込まれたよ」 自称テレビのハードウオッチャーだと言う営業部の安西課長は、 出社するなり、朝ドラの主役の話を始めた。 「お母さんとの別れの場面で、あんなにタイミングよく涙が出せるなんて、 さすが女優だね」 私はすぐに、マズい!っと思った。 そしてその予感は当たった。 「あんなの全然大したことないですよ」 入社3年目、武井美幸が、早速安西課長の言葉に喰いついてきた。 「見ててください」 真顔にな

「鎌倉の梅」

鎌倉大仏の近くにある「長谷寺」は今、梅が満開。 紅白の花々が春の訪れを告げている。 少しお疲れ気味だった心と体が癒された。 #鎌倉 #大仏 #長谷寺 #梅 #春 #不思議 

「渇望の中で」・・・生きる糧となるモノとは。

「どのような時に創造力が働くか? それは飢えている時だ」 ある作家は、ものづくりに大切なものは何か、という質問に、 『飢える事だ』と言った。 「日々の生活が満たされてしまったら、 新しい事に興味を持たなくなるし、新しい発想など生まれるはずもない。 だから、常に飢えを意識するくらいの生活を心がけなければならない」 ということらしい。 大学時代の友人で、村越(仮名)という男が この言葉をストイックなまでに真に受けた。 村越は、その日から極端な断食生活を始めた。 食事はほ

「自転車置き場の対決」後編・・・ラジオ用修正版。恋人たちの運命は。

以前ラヂオつくばで朗読された作品を修正、再録いたします。 『自転車置き場の対決 後編』 放課後、職員室に呼び出されて遅くなった麻田等は、 同じクラスで野球部のピッチャーの畑中徹に声を掛けられ 一緒に帰る事になった。 畑中とともに自転車置き場に行くと 畑中と付き合っていると噂のB組の笠谷ひとみが待っていた。 麻田は、ひとみに「席を外そうか」と言い、 畑中には「逃げない方が良い。辛いのは相手も同じだから」と言って、 通路の端から、自転車置き場の二人を見守ることにした。

「自転車置き場の対決」前編・・・ラジオ用に修正し、書き下ろしました。

昨日、ラヂオつくばで放送された作品はたくさんの方にお聞きいただき 感謝に耐えません。さて、毎回ラジオ朗読用台本は、こちらに一部修正し書き下ろしているのですが、日を改めて修正版を公開いたします。 その前に、以前ラヂオつくばで朗読された作品を修正、再録いたします。 ・・・・・・・・・・・・・・・ 『自転車置き場の対決 前編』 放課後、職員室に呼び出されて遅くなり、 麻田等は、ひとり教室で帰り支度をしていた 「ああ。ちょうど良かった。麻田。一緒に帰ろうぜ」 声を掛けてき

「ラヂオつくば」・・・朗読アリマス

明日(15日火曜日)、私の作品が、ラジオ放送されます。 「つくば You've got 84.2(発信chu)!(つくば ゆうがたはっしんちゅう)」。 番組は17時から。朗読は17時30分か45分くらいからの予定です。 MCはおなじみの小村悦子さん。 つくば以外にお住まいの方は、インターネット放送でもお聞きいただけます。 現在、スマホの「myTuner Radio」が不調で上手く聞けないという声が 多いので、可能ならPCで。 PCなら「サイマルラジオ」を検索し、画